1998 Fiscal Year Annual Research Report
境界潤滑機構の解明およびその表面微細形状創成への応用
Project/Area Number |
10650112
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
堂田 邦明 岐阜大学, 工学部, 教授 (90019224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春山 義夫 富山県立大学, 工学部, 助教授 (00019225)
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Keywords | 塑性加工 / トライボロジー / 摩擦試験 / 精密表面 / アルミニウム |
Research Abstract |
本年度は、塑性加工において最も支配的な境界潤滑領域における摩擦挙動の解明を試みに圧延形高速摩擦試験材を用いて、アルミニウム合金A3004を被加工材として、圧下率、加工速度、潤滑油粘度、塗布油膜厚さ、表面粗さを変更した実験を行い、これらの条件因子の摩擦状態への影響および、素板圧延方向と加工方向との角度が摩擦挙動に及ぼす影響を明らかにした。 1) 圧下率が摩擦係数(μ)に及ぼす影響は見られなかった。φ=0゚では、μが90゚の約1.5倍になった。 2) 加工速度を大きくするとφ=0゚、90゚ともμは減少し、両者の差も小さくなった。 3) 潤滑油の粘度がμに及ぼす影響は、φ=0゚、45゚では粘度を大きくしてもほぼ一定の値を示す。90°においては粘度を大きくするにつれてμも増加した。φ=0゚、45°、90゚の順でμは減少しており、φ=O゚では突起部の境界潤滑、90゚では微視的塑性流体潤滑になっていると思われる。45°は0゚と90゚の中間的な状態であると思われる。 4) 試料表面粗さがμに及ぼす影響は、粗さを大きくするにしたがってμが増加する。また、粗さ0.1μmRaではどの条件においても摩擦係数はほぼ同じ値を取り、0.5、0.7μmRaでは潤滑油Cのφ=0°、30°、Aのφ=0°、30°の順で減少している。 以上のことをまとめるとφが及ぼす影響を小さくするためには、加工速度を大きく、潤滑油粘度を大きく、試料表面粗さを小さくすればよいことがわかった。
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