1999 Fiscal Year Annual Research Report
工作機械の動剛性に関連する多自由度非線形系の特性解析に関する研究
Project/Area Number |
10650123
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
佐藤 壽芳 中央大学, 理工学部・精密機械工学科, 教授 (10013103)
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Keywords | 工作機械構造 / 接合部特性 / 履歴非線形特性 / モード解析法 / 動剛性 / 周波数応答特性 / 多自由度運動方程式 / 加工精度 |
Research Abstract |
工作機械構造は要素構造が結合されて全体構造が構成されている。要素構造の結合部・終結部であっても剛性が低下する。軸受け、滑り面等では、運動の自由を許容する間隙を持ちながら、剛性を有する結合である。何れの場合にも、結合部剛性は非線形特性を有している。これらの特性は存在が指摘されながら、振動解析の手法が複雑になるか、簡潔な手法が不在であったため、永らく理由の明確でない線形化によって解析されてきた。研究代表者等は、正弦波入力と、これに対する非線形要素の出力の基本波成分との関係に注目した記述関数を用いて、複数非線形特性を含む多自由度非線形系の周波数応答特性を求める近似モード解析の手法を提示している。この際に、線形で扱える系とこれを結ぶ非線形特性を結合し全体の振動特性を評価する非線形ビルディングブロック法も提示している。 軸受け、滑り面等では、非線形特性は荷重の増加、減少に対し、履歴特性を示す。本研究では、履歴特性に対する解析法を試みている。振幅特性は従来と同様多元連立方程式を解いて求められる。しかし、位相特性に関しては解は一般的に定まらず、表示を如何にするかについては、実際の特性との対比の関連で課題を残している。 履歴特性に関して従来の数式による表示法以外に分布関数を用いた表示法を試みている。これにより従来対応できなったマイナーループのある場合の履歴特性や、逆関数の導出を可能としている。これによって様々な履歴特性を持った系の解析が可能となる見通しを立てた。またこの手法を用いることによって、実験的に計測された履歴特性に対応した解析等にも応用することを可能としている。これらによって、工作機械の動剛性評価について新たな手法の提示と知見を得ている。また、この手法は工作機械の剛性評価に止まらず、広く機械系の振動特性評価に寄与することも提示している。
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[Publications] H.Sato: "Standardization Trend"Proc.The Fifth Int. Micromachine Symposium. 47-54 (1999)
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[Publications] H.Sato: "Straightness Measurement in Terms of Sequential Two Points Method"Proc.Asisan Machine Tool Engineering Forum '99 (AMEF'99). (2000)
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[Publications] 石井和人: "路面形状測定車に於ける逐次2点測定子の方向維持制御系に関する研究"中央大学大学院 精密工学専攻修士論文 講演予稿集1999年度. 101-104 (2000)
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[Publications] 佐藤壽芳、井原透、梅田和昇、諸潔、奥野昇、高橋満雄: "マクロ形状精度評価法の高精度化に関する研究"平成11年度新規産業創造型提案公募事業成果報告予稿集. 404-409 (2000)