1998 Fiscal Year Annual Research Report
自動車用タイミングベルトにおけるゆるみのメカニズム
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10650135
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
飯塚 博 山形大学, 工学部, 助教授 (90142215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀雄 木更津工業高等専門学校, 助教授 (50179511)
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Keywords | 撚りコード / 界面はく離 / FEM解析 / 曲げ剛性 / 力学モデル / 屈曲疲労 / 歯付ベルト / 破壊力学 |
Research Abstract |
初年度はベルトコードの屈曲疲労試験を行った.そして,曲げ剛性の疲労に伴う低下について実験データを得た.本年度購入した変位測定装置は,剛性測定のための試験で変位量測定に使用した.その結果,以下の知見を得た. 1. コード曲げ剛性は屈曲疲労初期から急激に低下し,最終的には50%程度低下した. 2. 疲労繰返数が10^6サイクルを超えると,曲げ剛性は一定値に漸近する傾向を示した. 屈曲疲労に伴うコード内部の破損形態を,光学顕微鏡および走査型顕微鏡を用いて観察し,以下の知見を得た. 1. コード内部にはストランド界面ではく離が発生していた.このはく離は疲労試験の初期に発生し,徐々に進展した. 2. その他に,一部のストランドでガラス繊維の破壊が観察されたが,その後その破壊が進展する傾向 はなかった. 3. 以上のことから,コード破損としては,ストランド界面のはく離発生を考慮することで十分であることがわかった. FEM解析においては,撚りコードのモデルを作成して,はく離発生に伴う曲げ剛性の低下を計算し,以下の知見を得た. 1. はく離が発生すると曲げ剛性は急激に低下した.その傾向は実験結果をよく説明した. 2. 剛性低下の割合は,ストランド界面に発生する応力の大きさに依存することがわかった. 力学モデルを用いた解析を行った.得られた知見を以下に示す. 1. ストランド界面に発生するせん断応力を解析し,はく離発生をそのせん断応力の解放としてモデル化した. 2. その結果,FEM解析の結果と良く一致する解析結果を得た.
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[Publications] 笠原涼,飯塚博: "歯付ベルトの変形挙動に関する研究" 日本機械学会第76期全国大会講演論文集. Mar-98. 635-636 (1998)
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[Publications] 飯塚博,高橋秀雄,手塚俊雄: "屈曲疲労に伴う界面剥離によるコード曲げ剛性の低下" 日本機械学会第76期全国大会講演論文集. Mar-98. 641-642 (1998)
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[Publications] 高橋秀雄,飯塚博,高橋美喜男: "コード内部でのはく離発生に伴う引張剛性の低下" 日本機械学会第76期全国大会講演論文集. Mar-98. 645-646 (1998)
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[Publications] 飯塚博,高橋秀雄,丸山貴生: "歯付ベルト用コード屈曲時の力学特性" 日本機械学会1999年度年次大会. (予定). (1999)
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[Publications] 高橋秀雄,飯塚博: "歯付きベルト用コードの引張剛性" 日本機械学会1999年度年次大会. (予定). (1999)