2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650152
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
竹内 彰敏 高知工科大学, 工学部, 助教授 (30206940)
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Keywords | トライボロジー / 超音波法 / アコースティックエミッション / 混合潤滑 / 固体接触面積 / 潤滑診断 |
Research Abstract |
混合潤滑下での荷重分担比の推定にとって重要となる固体接触面積の測定と、超音波法とAE法を組み合わせた新しい潤滑診断システムについて検討し、以下の結果を得た。 1.超音波法による固体接触面積の測定 接触境界面からの第一反射波の内、波形歪みの少ない1波長分の波形分析で得られた中心周波数で定義されるエコー高さ比(接触時と非接触時のパワーの比)を、探傷器の送信周波数を変化させながら実測した結果と、2面の剛性を考慮した波動方程式から導いた固体接触面積比と周波数の関係式により、接触面の粗さやトポグラフィーの影響を受けずに、固体接触面積比を測定できることを確認し、本システムの診断精度向上の可能性を明らかにした。 2.超音波支援型潤滑診断システムの総合評価 電気抵抗法、超音波法、AE法の組み合わせにより、混合潤滑への遷移領域から著しい表面損傷が発生する過酷な境界潤滑までの広範囲に渡る潤滑状態の把握が可能となる。特に、電気抵抗法が利用できない、絶縁物質や頻繁な固体接触が生じる混合・境界潤滑下での簡便な潤滑状態の把握には、超音波法とAE法を組み合わせたUT-AE併用型潤滑診断システムが有効である。 超音波探触子から入射した一定の音波が、摩擦面の固体接触部を通じて相手面に伝わる場合の伝播具合をAEセンサで測定し、AEイベント数の大きさで潤滑状態を評価するものであり、その値は、潤滑状態の悪化とともに小さくなり、良好ななじみ面では大きく安定に推移する。 摩擦係数が漸次減少する良好ななじみ過程であってもAEイベント数は減少し、2面の接触状態は頻繁に発生する摩耗粉により一時的に悪化することや、同じ摩擦係数の増加であっても、それには、2面の面荒れが原因であるものと、固体接触面積の増加によるものがあることなど、これまで測定が困難であった摩擦と潤滑状態との関係を定量的に求められる可能性を示唆できた。 また、摩擦面からの超音波の反射率と摩擦計測結果の相関関数の推移から、しゅう動面への摩耗粉の移着や酸化皮膜の形成等、運転中の摩擦面の性状変化を逐次把握できるようになり、本システムによる定量的な潤滑診断評価の可能性を明らかにすることができた。
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