1999 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックSGSモデルに基づく複雑乱流場のLESモデリング
Project/Area Number |
10650160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 伸行 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10217135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 まり 筑波大学, 機能工学系, 助教授 (40242127)
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Keywords | 数値流体力学 / 乱流 / ラージ・エディ・シミュレーション / サブグリッドモデル / 燃焼流 / 混相流 / 有限要素法 / 差分法 |
Research Abstract |
直接解析の適用できない複雑乱流場の解析手段としてラージ・エディ・シミュレーション(LES)が挙げられるが、工学一般の問題へ適用するには未だ研究課題を残している。近年Germanoらの提案したダイナミックSGSモデルは基礎的研究では多くの課題に優れた結果を与えており、LESにおける汎用的な乱流モデリングとして注目される。本研究では昨年度に引き続き、乱流LESのより広範囲な応用を進めることを目的として、ダイナミックSGSモデルの考え方に基づいた複雑乱流場のLESモデリングの実用的な定式化を示し、その数値計算上の問題点を明らかにした。具体的な研究課題として以下を行った。 a)G方程式に基づく予混合乱流モデルをダイナミックSGSモデルによって定式化し、剥離により保炎されるガスタービン燃焼器の乱流火炎予測への適用により有効性を検証した。 b)粒子分散タイプの固気流混相流を取り上げ、粒子による乱流変調を考慮したLES方程式をダイナミックSGSモデルに基づき改良し、チャンネル乱流に適用して基礎的な検証を行い適切なモデル定数評価が得られることを示した。しかし、本解析モデルではSGSモデルにより粘性スケールの散逸効果は再現できるが、GS成分方程式における散逸効果の予測が不十分であることが明らかとなった。 c)ダイナミックSGSモデルが統計量の定量的予測精度やbackscatterの評価などには不十分であることを考察して、局所瞬時の解を明示的に反映するSGSモデルを新たに提案した。チャンネル乱流などでの数値検証により、このSGSモデルが壁近傍渦構造を抽出しうることなどを示した。 d)ダイナミックSGSモデルを適用して外力効果を考慮したSGSモデルを構築し、回転場および浮力の働く基礎的な流れ場に適用して数値検証した。 e)実用的LESの数値計算上の課題である数値不安定性に対して、陽的空間フィルタや対流項スキームの導入により生じる影響について剥離流れを対象に検証した。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 小垣哲也 小林敏雄 谷口伸行: "非圧縮性乱流数値解析に適した一般座標系差分スキーム(第1報,座標返還後の基礎方程式の解析的保存特性と適切な差分スキームの一般座標系への拡張)"日本機械学界論文集 B編. 65-633. 1559-1567 (1999)
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[Publications] 小垣哲也 小林敏雄 谷口伸行: "非圧縮性乱流数値解析に適した一般座標系差分スキーム(第2報,一般座標返系差分スキームの検証)"日本機械学界論文集 B編. 65-633. 1568-1576 (1999)
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[Publications] N.Taniguchi,K.Takenaka,K.Lei,T.Kobayashi: "Evaluation of Subgrid Scale Models for The Large Eddy Simulation of Particle-Laden Turbulent Flow"Proc.of the 3rd.ASME/JSME Joint Fluids Engineering Conference. -6 (1999)
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[Publications] Marie.Oshima,Nobuyuki Taniguchi: "Numerical Investigation of Conservative Properties for Finite Element LES"Proc.of the 3rd.ASME/JSME Joint Fluids Engineering Conference. -6 (1999)
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[Publications] N.Taniguchi,T.Kobayashi,S.Ko,M.Ikegawa: "Large Eddy Simulation of a Premixed Combustion Flow in a Gas Turbine Combuster"IJPGC 99,ASME. -4 (1999)
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[Publications] T.Kogaki,T.Kobayashi,N.Taniguchi: "Conservative Finite Difference Schemes for Incompressible Turbulent in Generalized Coordinates"Proc.Int.Symposium on Turbulent Shear Flow and Phenomena. -6 (1999)
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[Publications] 谷口伸行: "乱流LESの工学応用の可能性"航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム'99. -6 (1999)
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[Publications] 谷口伸行、小垣哲也、朴 南、小林敏雄: "乱流LESにおける風上差分の影響"機械学会 計算力学講演会 論文集. -2 (1999)
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[Publications] 谷口伸行、正木健太、高 相吉吉、伊藤裕一、小林敏雄: "ガスタービン燃焼器の予混合火炎シミュレーション"可視化情報学会講演会論文集. -4 (1999)
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[Publications] M.Tsubokura,T.Kobayashi,N.Taniguchi,T.Kogaki: "Subgrid Scale Modeling for Turbulence in Rotating Reference Frames"Journal of Wind Engineering and Industrial Aerodynamics. 81. 361-375 (1999)
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[Publications] 張会来、谷口伸行、小林敏雄: "数値コロモゴロフスケールを用いたSGSモデルとその渦構造"第15回生研NSTシンポジウム講演論文集. 71-79 (1999)