1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650179
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
越智 順治 愛媛大学, 工学部, 教授 (00036245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮎川 恭三 愛媛大学, 学長 (30036230)
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Keywords | 乱流 / 渦 / 壁面乱流 / 縦渦 / ストリーク構造 / 線形安定性 / 自己再生サイクル / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究の主眼は,壁乱流の自己再生サイクルに着目して,その乱れの生成・維持のメカニズムを解明することである. 本研究の初年度である平成10年度には,以下の点に取り組んだ. まず,壁乱流の直接数値シミュレーションを行い,乱流の生成と維持を支配するストリーク構造と縦渦構造の時間発展を綿密に調べた.その結果,縦渦運動が主流速度分布を歪ませることによってストリークが形成され,さらに形成されたストリークが流体力学的な不安定を起こし,その不安定モードが流れ方向の渦度を発生させ,その渦度がストリークとの非線形相互作用によって縦渦構造へと成長することが明らかになった.以上の結果は,壁乱流が,縦渦とストリークとが互いに互いを交互に生成し合う閉じたサイクルによって生成・維持されていることを意味する. そこで次に,ストリークの線形安定性を理論的に調べ,ストリークの不安定化の条件と,どのようにストリークの不安定が流れ方向の渦度を生成するのかを明らかにした.ストリークが湾曲するモード(sinuous mode)とストリークがソーセージ状に変形するモード(varicose mode)の2つのモードのうち,ストリークが不安定になり得るのは,湾曲モードのみである.この湾曲モードの不安定化は,後流不安定と類似しており,ストリークの速度振幅が摩擦速度の3.5倍以上になる場合にストリークは不安定となる.ストリークが不安定化すると,流れ方向から壁に垂直な方向へわずかに立ち上がったリボン状の不安定モードが現れる.このモードは,ストリークの湾曲運動から直接に流れ方向渦度を生成すると同時に,壁に垂直な方向の渦度も生成し,この渦度は主流の剪断運動によって流れ方向に向けられる.これらの過程によってつくられた流れ方向渦度はストリークの湾曲運動を増長させ,不安定モードの増幅ループを構成する.
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