1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650189
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
関 眞佐子 関西大学, 工学部, 助教授 (80150225)
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Keywords | 微小血管 / 白血球 / 赤血球 / 血管抵抗 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、白血球が微小血管の血管抵抗に及ぼす影響について流体力学的に検討し、白血球に起因する血管抵抗上昇のメカニズムの解明を目指している。本年度は、1.動物実験により、生体内微小血管における白血球の挙動を観察し、2.それぞれの現象の白血球周りの血液流れについて数値解析を行って、流れ場を求めた。 1.動物実験: 麻酔下のラット腸間膜の微小血管内血流を生体顕微鏡で観察し、白血球が観察された箇所をビデオ画像として取り込んだ。それを再生して、微小血管内における白血球の挙動を調べた。 a)赤血球列の形成: 赤血球に比べサイズが大きく変形性の劣る白血球は、毛細血管内で赤血球より遅い速度でしか移動できない。従って、毛細血管内の白血球に速い赤血球が次々追いつき、白血球背後に赤血球の高密度の列(赤血球列)が形成されるのが観察された。毛細血管の一点において、光強度の時間変化を測定することにより、赤血球列の長さとの関連を検討した。 b)白血球の血管壁上の転がりと粘着: 細静脈の血管壁近傍に白血球が現れ、管壁上を転がったり、管壁に粘着するのが観察された。白血球の転がりの速さと周囲の赤血球速度との間には正の相関が見られた。白血球の細静脈壁への粘着は、血管湾曲部や粘着白血球の背後など起こり易い部位があるように観察された。 c)白血球の活性化の影響: FMLPの投与により白血球を活性化させると、粘着白血球の数は著しく増加した。 2.数値解析: 毛細血管内の赤血球列の形成と白血球の細静脈壁への粘着現象のそれぞれの場合について、微小血管内の流れを数値的に解析した。血液流れが粘着白血球に及ぼす応力を詳しく調べた結果、白血球表面の応力分布は粘着白血球の配置の仕方、血管径に大きく依存することが分かった。血管抵抗について、管径、白血球数等のパラメータ依存性を検討しているところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] B.P. Helmke: "A Mechanism for erythrocyte-mediated elevation of apparent viscosity by leukocytes in vivo without adhesion to the endothelium"Biorheology. 35:6. 437-448 (1999)
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[Publications] 関 眞佐子: "白血球粘着が微小血管抵抗に及ぼす影響"第22回日本バイオレオロジー学会年会抄録集. 37-37 (1999)
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[Publications] 関 眞佐子: "微小血管抵抗に及ぼす白血球の影響"日本流体力学会年会'99 講演論文集. 49-50 (1999)