1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
手ざき 衆 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50236965)
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Keywords | レーザ分光 / 縮退四波混合 / 燃焼計測 / 分子検出 / 分子衝突 / 分子エネルギー移動 / 温度計測 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
コヒーレント分光法である、縮退四波混合分光法(Degenarate Four Wave Mixing spectroscopy: DFWM)は、レーザー誘起蛍光法(LIF)が対象とできない分子や、高温高圧などの特殊な場での分子計測手法として有効と言われているが、燃焼計測応用での濃度場または温度場の定量的な解析のためには、必要なパラメーターが十分把握されていなかった。本課題ではまず、NO分子を対象として信号強度の雰囲気圧力依存性及び温度依存性について検討した。雰囲気ガスとしてヘリウム、窒素、酸素、二酸化炭素の4種について、それらの圧力と共にDFWM信号強度の低下が見られ、全二者に比べ後二者の係数がやや大きい。この傾向はLIFの場合とかなり異なり、分子間衝突に起因する回転緩和等のエネルギー緩和と位相緩和による飽和光強度の変化を与えることによって、DFWMの信号強度を雰囲気圧力の関数として適切に表わすことができた。信号強度の圧力依存は入射レーザ強度をパラメーターとしてそれぞれの圧力で飽和度が1に近い入射光強度が有利であり、高圧ほど強い入射光を用いる方が良いことが示された。信号強度の温度依存は占有数の変化だけでは説明しきれず、吸光係数の温度依存性を考慮に入れることによって実験結果を再現することができた。以上の成果は分光研究誌に、研究論文として掲載された。以上の知見に照らせば、HO_2のような前期解離性の分子に対しては、前期解離寿命をエネルギー緩和係数に含めることでモデル化ができ、蛍光性分子よりは雰囲気圧力依存の小さい特性が得られることが示された。HO_2の積極的な生成法について、アンモニアなどを用いたレーザ光分解法ではHO_2の自己消費反応に生成が追いつかないので定常濃度は10^<12>/cm^3以下と低く、過酸化水素の急速熱分解が有効であることも明らかになった。
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