2001 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ系燃料から生成される有害成分の生成機構に関する研究
Project/Area Number |
10650222
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤原 康博 北海道工業大学, 工学部, 教授 (30048045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登坂 茂 北海道工業大学, 工学部, 教授 (80048058)
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Keywords | ディーゼル機関 / バイオ系燃料 / メチルエステル / 有害成分 / アルデヒド / DNPH法 |
Research Abstract |
本研究は、植物油をメタノールでモノエステル化したバイオ系燃料が将来の低公害燃料となりうるかを明らかにすることを目的とした研究である。昨年度までの研究結果から、エンジン性能に大きな差異は認められないが、バイオ系燃料は、含酸素系の燃料であることからアルデヒド等の有害成分の排出が予想される。排ガス中のアルデヒドをGC-MSならびにDNPH法で測定した結果、ディーゼル機関の排気中に含まれるアルデヒド成分は、その大部分がホルムアルデヒドであるが、そのほかに悪臭物質に指定されたアセトアルデヒド、プロビオンアルデヒド、また、大気汚染防止法の特定物質であるアクロレインもわずかではあるが検出された。そのほかにクロトンアルデヒド、ベンズアルデヒドならびにバレルアルデヒドなどが検出された。また、その排出量を見ると、概して軽油の場合よりも増加する傾向にはあるが、運転条件によっては軽油の方が多い場合もあることが明らかになった。 また、赤外線ゴールドイメージ炉を用いた熱分解装置を試作し、バイオ系燃料である種々のメチルエステル燃料の熱分解過程を詳細に調べた結果、バイオ系燃料の場合、比較的広い温度領域でアルデヒド類が生成されているのに対して、軽油の場合には、狭い温度範囲で多くの生成量が見られ、その最大生成量は軽油の方が多いことが明らかになった。脂肪酸メチルの構成割合が異なるバイオ系燃料を熱分解した場合、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒドの生成量が構成割合に受ける影響はあまり見られない。ホルムアルデヒドはリノール酸メチルが最も多いバイオ系燃料から最も多く生成されている。つぎにエステル化するアルコールの差異がアルデヒド類の生成に及ぼす影響を調べた結果、植物油エチルと植物油メチルを比較するとエチルエステルの場合、ホルムアルデヒドの生成量が減少し、アセトアルデヒドの生成量が増加する。これはモノエステル化に使用したアルコールの影響によると考えられる。 以上の結果から、植物油系のバイオ系燃料は、軽油に比較してエンジン性能ならびに排気特性においても大きな差異は認められず、将来の燃料としての利用は可能と考えられる。
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[Publications] 野津 弘志, 藤原 康博, 登坂 茂: "ディーゼル機関用バイオ系燃料から生成される要害成分に関する研究"北海道工業大学研究紀要. 第30号(平成14年3月掲載). 1-8 (2002)
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[Publications] 藤原 康博, 能戸 正: "バイオ系燃料がディーゼル機関の性能ならびに排気特性に及ぼす影響"日本陸用内燃機関誌. 461号(昨年度掲載漏れ). 9-16 (2000)