1998 Fiscal Year Annual Research Report
メタノール水溶液物性の精密測定とその組成依存性の解明
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10650223
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上松 公彦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90051721)
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Keywords | メタノール / メタノール水溶液 / PVT性質 / 沸点圧力 / 飽和液体密度 / 非理想性 / 過剰モル体積 / 高圧物性 |
Research Abstract |
地球温暖化ガスである二酸化炭素の回収・固定化や水素燃料の輸送・貯蔵の有力な手段として注目されているメタノールおよびメタノール水溶液は,有力な自然冷媒の一つであり,新発電方式の作動媒体としての利用も提唱されている.これらの新技術の実用化には熱物性値情報が必要不可欠な基盤的情報である.本研究では,伸縮自在な金属ベローズを試料容器として用い,等温場における組成既知の混合流体の密度の圧力による変化を変容法により測定し,メタノール水溶液のPVT性質の実測値を得た.測定に使用したメタノール試料は市販の特級試薬を蒸留し,モレキュラーシーブ4Aで脱水した後,凝縮脱気を数回実施した試料であり,試料水は水道水をイオン交換した後,全石英二段蒸留水製造装置により蒸留し,数回の凝縮脱気を行ったものである.これらの試料を所定の組成に調合し,質量法により組成を測定した後,試料容器に充填した. 本測定では,温度:320〜400K,圧力:沸点圧力〜200MPaの範囲で0.1984CH_3OH+0.8016H_2Oの混合系について,沸点圧力および飽和液体密度を7温度において,PVT性質を5温度,26圧力の状態で計142点測定した.測定精度は,温度:±3mK以内,圧力,密度,組成:それぞれ±0.1%以内である.これらの実測値に基づいて,等温圧縮率,体膨張係数を算出し,沸点圧力とPVT性質の理想混合からの偏奇量を求めた. メタノール水溶液の物性は,メタノール分子と水分子の複雑な相互作用の結果として表れたものであるが,今回測定した20mol%メタノール水溶液は,沸点圧力の理想混合からの偏奇は正であったが,PVT性質の非理想性を表す過剰モル体積は負であることが明らかとなった.過剰モル体積は圧力の上昇とともに理想混合の状態であるゼロに近づく挙動を示し,その温度依存性も高圧ではほとんど無くなることが分かった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Sato: "Measurements of Thermodynamic Properties of Aqueous Methanol Mixtures" Proceedings of the 5th Asian Thermophysical Properties Conference. 1. 5-8 (1998)
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[Publications] O.Osada: "Excess Molar Volumes of{xCH_3OH+(1-x)H_2O}in the Temperature Range from 320K to 420K at Pressures up to 200 MPa" 15th International Conference on Chemical Thermodynamics. C1. 16 (1998)
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[Publications] 佐藤 誠: "メタノール水溶液の熱力学性質に関する研究" 第39回高圧討論会講演要旨集. 241 (1998)