2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650236
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
矢ヶ崎 一幸 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40200472)
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Keywords | 複雑系 / カオス / 連成振動系 / 分岐現象 / カオス制御 / 力学系理論 / ハミルトン系 |
Research Abstract |
本研究の目標は,大気や海洋,生命,経済システムなどの複雑系のダイナミクスと制御に関する基礎的な研究として,これらのモデルと考えられる連成振動系に対する非線形現象の理論解析手法およびその有効なカオス制御法を確立することである.今年度は以下の研究成果が得られた. (1)これまでに提案した手法を用いるなどして,周期外力の作用する減衰振子で起こる,従来知られていなかった位相同期や分岐,カオスなどの非線形現象を理論的に解明した.さらに,数値シミュレーションおよび実験を行い,理論結果の有効性を検証した. (2)(1)の研究結果を踏まえ,前年度に引き続き,周期外力の作用する2つの振子からなる連成振動系を取りあげ,本研究で開発した手法を用いるなどして分岐やカオス,(位相あるいはカオス)同期など非線形現象を理論解析した.さらに,理論結果の妥当性を数値シミュレーションおよび実験により検証した. (3)カオス制御に対する新たなアプローチを提案し,本手法を(1)の強制減衰振子および(2)の連成振動系に適用し,数値シミュレーションおよび実験によりその有用性を確認した. (4)本研究で開発した手法を拡張して適用することにより,減衰力の作用しない座屈ばりの自由振動の運動方程式に対して理論解析を行い,エネルギーが保存される無限自由度ハミルトン系で起こるカオズ現象について従来知られていなかった側面を明らかにした. (5)本研究で得られた結果を総括し,自由度の大きな連成(振動)系によってモデル化されるような複雑系のダイナミクスに関して知見を得た.また,このような複雑系で起こる非線形現象に対する解析手法およびカオス制御法の基礎を確立した.
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[Publications] Kazuyuki Yagasaki: "Horseshoes in two-degree-of-freedom Hamiltonian systems with saddle-centers"Archive for Rational Mechanics and Analysis. 154. 275-296 (2000)
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[Publications] Kazuyuki Yagasaki & Yoshiyuki Tochio: "Experimental control of chaos by modifications of delayed feedback"International Journal of Bifurcation and Chaos. 11. (2001)