Research Abstract |
碍子内に電極板対とサーチコイルを埋め込み,配電線の電圧波形並びに電流波形を非接触で計測する本センサには,構成が単純になる半面,電極の寸法・配置・構成,サーチコイルの配置に応じて,検出波形に位相ずれが生ずることが研究代表者等のこれまでの研究で理論的に把握されている。また,この位相ずれは,各センサの配置,形状のみならず,配電線の配置,落雷防止のために設けられている架空地線の位置等にも大きく依存する。 前年度では,横引き並びに縦引き配電系に本提案センサを配置した際の電磁界シミュレーションを実施した結果,横引き配電系では電流センサーに電気角で最大6[度],縦引き配電系では電圧センサに電気角で最大6[度]の位相ずれが起こることを理論的に明らになった。本年度では,横引き一般配電系において,上記のセンサに採用していた非分割電流サーチコイルに生ずる電流波形の位相ずれを改善する目的で,その電流サーチコイルを等分割し,起磁力が互いに逆向きになるように直列接続し,碍子中心軸と対称位置に配置する分割配置型サーチコイル方式を考案し,三相横引き配電系並びに縦引き配電系に設置した場合を想定した有限要素法に基づく電磁界シミュレーションを実施した。また,縦引き配電系においては,電圧センサの配置を再検討し,上記シミュレーションを行った。 以上の知見を基に,既成の電流センサ内蔵碍子に,平板電極対からなる電圧センサをシリコン樹脂で絶縁,固定した構成として碍子内に設置させる方式を考案し,更に,熊本市にある光洋電器工業株式会社(配電碍子の専門メーカ)に本センサの試作品を依頼し,本モデルに従った,数値シミュレーションを実施し,電極並びに電流センサの配置を決定した。また,同メーカの協力を得て模擬配電線に装着してフィールド試験を実施した結果,電流位相ずれ補償の効果を得る可能性が実験で証明できた。
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