1998 Fiscal Year Annual Research Report
ポリエチレングリコール-グラファイト系による自己温度調節面状発熱体
Project/Area Number |
10650305
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 豊明 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70106631)
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Keywords | 面状発熱体 / 自己温度調節 / PTCヒーター / グラファイト / スイッチング素子 / ポリエチレングリコール / ケッチェングブラック / 電子移動 |
Research Abstract |
ポリエチレングリコール-グラファイトの系は優れたスイッチング特性を示す。スイッチング素子メーカー最大手の米国レイケム社がその特許で述ベモいる理想的な温度-抵抗特性に非常に近い特性を示す。僅か0.1℃の温度変化で2桁の抵抗変化を示すものはポリエチレングリコール-グラファイト系の他は全く知られていない。この系の研究者は申請者以外は皆無と言ってもよ.い。ポリエチレングリコール-グラファイト系のスイッチング機構についてはこれまで大まかな点では研究されている。本年度は測定装置のハードな部分を完成させ、ソフトの部分も順次完成させることを計画していたが、これはほぼ目標の通りに達成できたと考える。更に完成した装置を用いて、この系の機構解明を従来とは別の観点から詳細に追求した。従来この系に特有の電気伝導はポリエチレングリコールに分散させた導電性粒子の仕事関数が低い場合に発現することが知られている。この関係を再確認するつもりで仕事関数がそれ程高くないケッチェンブラックを添加した系の特性から調べた。ところがこの系ではスイッチングが現れなかったので、この原因を追究した。従来の温度抵抗の関係を調べるのでなく、系に外力を働かせて伸長し、伸び歪みと抵抗の関係を調べた。この結果次のことが明らかとなった。ケッチェンブラックは粒子間の強い相互作用で連鎖を形成し、これが導電回路となっている。これはグラファイトからポリエチレングリコールへの電子移動による導電性よりはるかに高い導電性を有するのでスイッチングが発現しないと考えられる。
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