1998 Fiscal Year Annual Research Report
六方晶コバルト・白金合金膜の微細構造制御と垂直磁気記録への応用
Project/Area Number |
10650309
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
塩見 繁 三重大学, 工学部, 助教授 (00115578)
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Keywords | 磁性薄膜 / 垂直磁気異方性 / 保磁力 / 六方晶 / コバルト・白金合金 / 垂直磁気記録 / スパッタリング |
Research Abstract |
(111)および(100)配向した白金(Pt)下地層の上にコバルト・白金(Co-Pt)合金膜をスパッタし,X線極点図を測定してその結晶構造を解析した.Pt(111)下地層上のCo-Pt合金膜はpt含有量が40%以下ではc軸が膜面垂直に配向した六方最密(hcp)構造,50%以上では(111)配向した面心立方(fcc)構造であることがわかった.Pt含有量が40〜50%の領域ではhcpとfccの相が共存する.一方,Pt(100)下地層上のCo-Pt合金膜は組成に関係なく(100)配向したfcc構造であった.fcc構造のCo-pt合金膜の垂直磁気異方性は組成や配向性に関係なく小さい.しかし,hcp構造のCo-Pt合金膜は大きな垂直磁気異方性を有し,Pt含有量が30%前後で垂直磁化膜になる.次に,Pt含有量が30%前後のCo-Pt合金膜を基板温度を変えて作成した.Co-Pt合金膜の結晶構造は,基板温度が室温から100℃の範囲ではhcp構造であるが,200℃以上ではfcc構造に変わることがわかった.結晶構造の変化にともない,垂直磁気異方性は基板温度200℃以上で急激に低下し,面内磁化膜になった.Pt下地層の厚さが結晶構造等に及ぼす効果も調べた.その結果,マイカ基板上のPt下地層の場合にはおよそ200Å以上の厚さで,ガラス基板上のPt下地層の場合にはおよそ500Å以上の厚さで,それぞれCo-Pt合金膜がhcp構造をとり,垂直磁化膜になることがわかった.これらのCo-Pt合金垂直磁化膜の保磁力は500 Oe程度でかなり小さい.そこで,Crを添加して保磁力増大の効果を調べた.その結果,保磁力が700〜800 Oeに増加することがわかった.
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