Research Abstract |
16値振幅位相変調方式の中で移動通信に利用可能と考えられる(8,8)型QAM(Star QAM)と(4,12)型QAMの2方式に焦点を絞り,基本的な数種の検波方式における誤り率特性の解析を行った。次に,一般的な多値振幅位相変調方式に適用可能な多シンボル遅延検波の一般式を導出し,これを用いて適応的多シンボル遅延検波方式を構成した。 移動通信方式に使える多値変調方式の候補として,取り得る振幅が2値と少なく,位相に関しては差動符号化・遅延検波が可能な方式として,同心円信号点配置の範疇で2方式に限定し,加法的ガウス雑音通信路における基本的静特性の解析を行い,当グループで提案した(4,12)型信号点配置が優れた誤り率特性を示すことを確認した。 次に,多シンボル遅延検波の定式化について検討した。従来,ブロック長が4以上の場合の判定式は,シンボル長が2及び3の結果から類推的に求められたものであり,さらにSN比が非常に大きい場合を想定しているので,様々な環境下での適用性に曖昧さが残っていた。本研究では,これを厳密な形で導出した。その結果,従来の判定式を用いた場合と比べ,約0.5dBの改善利得を得ることができ,さらに,この判定式が,符号化,符号間干渉の存在下などにおいても,適応可能な一般的な判定式であることを確認した。 この一般的な判定式を用いて適応的多シンボル遅延検波方式を構成した。この方式は,遅延検波が基本であり,従来から行われていた自動等化+同期検波,或いはチャネル推定+同期検波などの方式で必要な同期用搬送波の再生回路を不要とした。また,多レベル変調でありながら,周波数選択性フェージング通信路など,受信信号振幅が変化する通信路においても,十分適用可能であることを示した。
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