1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650362
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
常盤 欣一朗 神戸大学, 工学部, 助教授 (70172145)
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Keywords | 量子誤り / 量子誤り訂正符号 / 量子コンピュータ / 量子通信 / 量子符号理論 / 量子情報理論 / 誤り訂正符号 / 符号理論 |
Research Abstract |
量子コンピュータや量子通信を実現するために克服すべき様々な課題の中で,量子情報の信頼性をいかに確保できるかということは重要な問題であり,そのための有力な手法として量子誤り訂正符号の適用が注目されている.効率的な量子誤り訂正符号の構成法を理論的に構築するという本研究の目的に向けて,昨年度に引続きさらに文献調査を進めるとともに,本年度は以下のような基礎的な考察を行った.すなわち, 1.量子誤り訂正符号の設計条件を従来の符号理論の立場から詳細に検討・整理し, 2.構成可能な符号のパラメータを計算機を用いて探索した. 具体的には,以下の通りである.量子誤り訂正符号は基底を与えれば一意に特定できるが,古典線形符号Cに基づいて量子誤り訂正符号Qを構成する場合,符号Cのコセットの中からある条件を満足するもののみを選択し,それらと1対1に対応するように符号Qの基底を決定すればよい.そこで,コセットの性質およびシンドロームの概念を利用することによってコセットを効率的に選択でき,その結果として符号Qの基底を効率的に探索できるアルゴリズムを考案した.そして,このアルゴリズムを用いた計算機探索を実行することによって,量子誤り訂正符号として構成可能なパラメータを調べた結果,いくつかの新しい符号を見出すことができた. 上記の探索アルゴリズムは全数探索に比べて計算量をある程度削減し得るものであるが,より多くの符号を探索するためには計算量の点でまだまだ十分であるとは言いがたい.現在,計算量をさらに削減するための工夫をし,新しい符号が多数得られるように上記のアルゴリズムの改良を進めているところである.
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