1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650404
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鎌倉 友男 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (50109279)
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Keywords | ハイドロホン / 校正 / 非線形音響 / 波形ひずみ |
Research Abstract |
本研究の目的は,水中での絶対音圧の測定を目的とした高周波用ハイドロホン(およそ,1MHzから10MHz)の新しい校正法の提案とその実証,そして基礎データの収集である.特に医療超音波の分野において,絶対音圧や音響パワーの測定の観点からハイドロホン校正装置は是非必要とされているが,我が国にはそれに該当する装置がない.既存の校正法や新たな校正法として,相互校正法,音響放射圧の利用,超音波の非線高調波歪みの利用,そしてレーザーと音波の相互作用の利用,以上の4つ校正方が考えられる.本研究では,非線形高調波歪みを利用する校正法である.すなわち,超音波の音圧を上げると波形歪みが顕著に現れる.このことは高調波が多く発生することを意味するが,これらの高調波のレベルは音源音圧や駆動周波数といった音源条件で決まり,しかも理論的にきちんと予測できる.平成10年度の成果は,まず,非線形音場の理論予測に適切な精度のよい新たなビームモデル式を提案した.これは,肩平回転楕円体座標系を利用して音波の広がりを補正しながら非線形波動方程式を展開するもので,これで得られたモデル式によって,音源のごく近傍から十分遠方まで,基本波はもちろんのこと高次高調波まで高速に数値計算できるようになった.この成果はJ.Acoust.Soc.Am.の学会誌に報告した(現在,論文受理印刷中).一方,実験装置の試作も進めており,高周波用パワーアンプ,音場の精密測定のための3次元ステージを購入し,現在,組み立てている段階である.次年度から,精密な音場測定を行い,当初提案したスキームに従って高調波の大きさからハイドロホンの校正を行う新しい手法を展開する予定である。
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