1998 Fiscal Year Annual Research Report
三次元多重弾性散乱効果を考慮した構造部材の損傷評価の高精度定量化策に関する研究
Project/Area Number |
10650458
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北原 道弘 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (60135522)
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Keywords | 損傷 / クラック / 散乱断面積 / 散乱減衰 / 三次元波動場 / 多重散乱効果 / ボルン級数 / 数値解析 |
Research Abstract |
研究の初年度に当たる本年度は,クラックによって全方向に散乱されるエネルギー総量をクラックの幾何学的断面積に換算表現した弾性散乱断面積の高速計算法の開発と予備実験計測を行い,以下のような知見を得た. 1 三次元弾性多重散乱解析法の開発 この過程は散乱断面積を数値的に評価するための基本であり,クラックによる三次元多重散乱効果を含んだ解析法を如何に計算効率よく構築するかがポイントとなる.本研究ではボルン級数の算法を積分方程式の解法に採り入れ,(1)任意個数,任意配置のクラックに対する多重散乱を考慮した積分方程式系を導き,(2)積分方程式系のボルン級数型解法を構築し,(3)数値解析により解析法の有効性を確認した. 2 弾性散乱断面積の高速計算式の導出 クラックの代表長に比べて遠方の球面上で散乱エネルギー総量の評価式を作成し,これをグリーン関数の遠方近似表現を利用して単位球面上の積分に変換することにより,散乱断面積の高速計算を実現した.一個のクラックに対する散乱断面積に関しては,MartinとWickhamによる半解析的結果が存在し,本研究による数値解析結果をこれと比較することにより,本方法による結果が十分な精度を有していることを確認した. 3 散乱減衰評価のための予備実験計測 クラックを有しない供試体による参照波形の計測,分布クラックを有する供試体による散乱波形の予備実験計測を行った.このとき,分布クラックモデルの作成法が問題となったが,薄いゴムを利用してセメントペースト中に分布クラックモデルを実現し,供試体の厚さを調整することにより,散乱波形計測が可能となった.
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[Publications] Kitahara, M.: "Multiple Scattering Calculatins by Born Series Integral Equations" Review of Progress in Quantitative NDE. Vol. 17. 33-40 (1998)
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[Publications] Kitahara, M.: "Elastodynamic Inversion of 3D Cavity from Backscattering Data" Inverse Problems in Engineering Mechanics. Elsevier. 163-170 (1998)