1998 Fiscal Year Annual Research Report
大変形領域での鋼材の弾塑性応力ひずみ関係の同定に関する研究
Project/Area Number |
10650461
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小畑 誠 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30194624)
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Keywords | 塑性 / 構成方程式 / 延性破壊 / 逆解析 / 大変形解析 / 材料試験 |
Research Abstract |
鋼構造物の終局挙動や変形能力を正しく評価するためには部材の延性および脆性破壊の特性を把握する必要がある.しかし現在のところ構造用鋼材の延性破壊特性に関する定量的な研究は多くなく,設計上有益な数値解析による検討にまでは至っていない.一般に延性破壊は材質,形状,などに影響されるが,これらは適切な応力ひずみ関係を用いれば数値解析でも精度良く予測できるものである.しかしながら延性破壊が生じる領域は大ひずみ領域であることから,数値解析には幾何学的非線形性の考慮に加えて応力ひずみ関係の材料定数の決定に関する困難さが伴う.すなわち30%以上の大きなひずみの領域での応力ひずみ関係を正しく推定する必要がある.標準供試体でひずみゲージを用いる実験手法ではこれを実現することは不可能なので,本研究では非一様に変形する供試体を用い,供試体表面の変位を測定し,想定した応力ひずみ関係の材料定数を有限要素法を用いた逆解析により推定するという実験手法を用いた.まず,この手法の特性をあきらかにするために,平板供試体に楕円孔を設けた仮想供試体に対し延性破壊を扱うのに最もよく使われている応力ひずみ関係であるグルソン型モデル想定し,数値実験を行い次の点をあきらかにした.1)逆解析においてガウスニュートン法を使い非線形有限要素法の計算量の増加を防ぐために双3次関数による補間を行ったが,これは精度や計算量の観点から有効である.2)逆解析の精度に大きく影響するのは変位を観測する点の位置であり,これは実験の前に十分によく検討しておく必要がある.3)実際の適用にあたっては荷重変位曲線の材料定数に対する感度解析を行うなどして,逆解析の精度や効率を上げることができる. 以上,提案する手法が実際に適用するだけの可能性があることを示した.
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