せん断崩壊型はり部材を有する鋼変断面ラーメンの地震時に履歴減衰特性に関する研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10650472
• Research Institution: Daido Institute of Technology
• Principal Investigator: 酒造 敏廣 大同工業大学, 工学部, 教授 (90137175)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 水澤 富作 大同工業大学, 工学部, 教授 (60113081) ; 事口 壽男 大同工業大学, 工学部, 教授 (60047305)
• Keywords: 鋼製橋脚 / 変断面 / ラーメン / 地震応答 / 非弾性 / 腹板 / せん断座屈 / 履歴減衰

Research Abstract

鋼製の2層門形ラーメン橋脚を対象にして,はり中間部腹板の塑性化を伴うときの非弾性地震応答解析を行った.具体的には,これまでに提案した方法を用いて,はり腹板の塑性せん断変形の発生を判定するための基本パラメータβの算出手順を具体的に示した.つぎに,非弾性地震応答解析を通じて,はり中間部腹板の塑性せん断変形がラーメン各部の変位やひずみ応答に及ぼす影響を調べた.また,塑性変形箇所のひずみ速度の応答から,はり中間部腹板が塑性化するときのラーメンの損傷メカニズムの特徴をまとめた.最後に,2層ラーメンのはり腹板の塑性せん断変形の予測方法について考察した.
本研究により,新たに得られた知見は以下のとおりである.
1) 1層目のはり中間部で塑性せん断変形が著しくなると,1層目の隅角部腹板の変形挙動をほぼ弾性応答の範囲に留めて,かつ,1層目の柱基部の塑性変形を小さくする効果が大きい.
2) 1層目のはり中間部腹板の塑性せん断変形が2層目の柱の塑性変形性状に及ぼす影響は小さい.
3) はり中間部腹板の塑性変形が著しくなると,そのせん断ひずみ速度は,柱基部の曲率速度に比べて,かなり大きくなる.
4) β>約1.1に設定すれば,1層目はり腹板はほぼ弾性状態に留まり,β<約1の範囲では塑性せん断変形が集中し始める.
5) 上記4)の結果から,はり中間部腹板の塑性せん断変形を伴ったラーメンの損傷メカニズム,ならびに,履歴減衰特性をより正確に捉えるためには,今後,腹板の塑性せん断変形の速度効果を考慮して,解析・実験を進めていく必要がある.

Research Products

• [Publications] 酒造敏廣,山田 宰: "せん断崩壊型はり部材を有する鋼2層門形ラーメンの非弾性地震応答解析" 構造工学論文集,土木学会. 掲載予定45A. (1999)
• [Publications] 酒造敏廣,山田 宰: "はり中間部の塑性化を伴う2層門形ラーメンの地震応答性状" 平成10年度研究発表会講演概要集,土木学会中部支部. (1999)
• [Publications] 酒造敏廣,山田 宰: "せん断崩壊型はり部材を有する2層門形ラーメンの非弾性地震応答性状" 第53回年次学術講演会・講演概要集,土木学会(第1部B). 260-261 (1998)