1998 Fiscal Year Annual Research Report
リーチング作用を受けた粘土地盤の地震時安定性に関する研究
Project/Area Number |
10650488
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
永瀬 英生 九州工業大学, 工学部, 助教授 (80180488)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 明彦 九州工業大学, 工学部, 助教授 (70238400)
|
Keywords | 塩分溶脱 / 粘土 / 地震 / せん断弾性定数 / 減衰定数 / 動的強度 / 室内せん断試験 |
Research Abstract |
本研究は、諫早干拓事業に伴う干拓地内の淡水化による地盤物性の変化に着目し、リーチング(塩分溶脱)作用を受けた有明粘度の動的特性を明らかにして、それに基づき河川堤防等の土構造物の地震時安定性を評価しようとするものである。このため、今年度はリーチング作用の進行状況等に関する事例調査を行うとともに、リーチング作用を実験室内で再現する手法を確立して、その作用を受けた有明粘土の動的変形強度特性を実験的に調べた。その結果、次のことが確認されている。なお、動的試験はステージ載荷で行った。 (1) 原地盤に含まれる塩分の濃度は、ここ1年程度ではあまり変化していないが、干拓事業が開始されてから、河川堤防上に堆積していたガタ土が雨水等で洗い流され、堤防の断面形状が変化している。これは堤防の地震時安定性に影響すると考えられる。今後、河川堤防における沈下の状況等も調査する予定である。 (2) リーチング作用は、実験室内において有明粘土の不撹乱試料に蒸留水を長時間流す方法で再現した。通水時の動水勾配は約25程度とし、塩分溶脱の目安は塩分濃度が1g/l以下とした。これを満たすための通水時間は、せん断試験用供試体の場合、20〜30日間必要であった。ただし、塩分溶脱前の塩分濃度は9〜12g/lである。 (3) 圧密試験では、塩分溶脱の影響により、圧密降伏応力を越える圧力下での体積圧縮係数が増加し、圧縮係数が減少し、圧縮性が高くなった。これは、塩分溶脱により粘土粒子間の凝集力が低下したためと考えられる。 (4) 動的変形試験では塩分溶脱の影響はほとんど見られなかったが、動的強度試験では塩分溶脱後の場合、10%以上の大きいせん断ひずみ領域において、急激な破壊が生じた。なお、ステージ載荷による試験では、排水を伴うため、塩分溶脱作用の影響が著しくは現れなかったと考えられる。これについては今後検討する予定である。
|
Research Products
(2 results)