1998 Fiscal Year Annual Research Report
養生中のセメント改良土に乾燥履歴を与えた場合の強度・変形特性に及ぼす影響
Project/Area Number |
10650492
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
前川 晴義 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (60113031)
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Keywords | 一軸圧縮強さ / 乾燥履歴 / スレーキング / セメント / 土質安定処理 / 変形係数 / 粘土 / 養生 |
Research Abstract |
セメント改良土が抱える課題の一つに、長期レベルでの安定性の問題がある。軟岩材料では乾湿繰返しによるスレーキングや劣化現象が問題になるが、同じ固結作用からなるセメント改良土に関しては、その実態が明らかにされていない。ここでは、浅層部や地下水面付近の乾湿繰返し作用を想定し、セメント改良土に乾燥・湿潤条件を与えた場合の強度・変形特性への影響を調べることを目的にしている。平成10年度は、養生中に与える乾燥の時期に注目し、セメント改良土の乾燥履歴と強度・変形特性の関係を明らかにした。 供試体は九谷焼用粘土に普通ボルトランドセメントと蒸留水を所定の条件で混合した試料を縦割モールドに打設し、24時間経過後に脱枠して作成した。実験は乾燥履歴の影響を調べるために、(1)乾燥条件を与えない場合、(2)養生期間中に乾燥条件を与えた場合、(3)乾燥と湿潤条件を与えた場合の3種類の条件で実験を行った。強度試験までの養生期間は、最大で8週間とし、所定の養生期間で一軸圧縮試験を実施した。また、乾燥を受ける時期の影響を調べるために、所定の乾燥を与える時期を打設3日後と強度試験の5日前の2種類とした。 上記の3種類の条件を与えた実験結果からは、セメント改良土も自然土と同様に、乾湿によって劣化する実態が明らかになった。強度・変形特性へ乾燥履歴の影響は、乾燥を与える時期に左右され、打設直後の固結作用が十分に発達していない時期に受けた乾燥は、水和反応や乾燥収縮によって強度が増進し、結果的に安定性を高める役割を果たすことがわかった。これに対して、固結作用が安定し始める長期養生の供試体が乾湿を与えた場合には、強度が低下することを明確にした。また、変形特性に対する乾燥履歴の影響は、強度特性よりも顕著であった。次年度は今年度の成果をもとに、三軸圧縮試験を通して、劣化に関する詳細な特性の解明を予定している。
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