1999 Fiscal Year Annual Research Report
養生中のセメント改良土に乾燥履歴を与えた場合の強度・変形特性に及ぼす影響
Project/Area Number |
10650492
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
前川 晴義 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (60113031)
|
Keywords | セメント改良土 / 乾燥履歴 / 三軸圧縮試験 / 劣化 / 降状曲面 / 破壊基準 |
Research Abstract |
本研究では養生中のセメント改良土に乾燥を与えた場合の強度・変形特性への影響を明らかにするために、昨年度の一軸圧縮試験に引き続いて、圧密排水条件による三軸圧縮試験を行った。乾燥履歴の影響を調べるために、供試体に乾燥を与える時期は、打設後の3日目と強度試験の5日前の2種類とし、所定の条件で乾燥した供試体は、2日間密封した後で湿潤状態(水浸)に戻した。乾燥の有無の影響を調べるため、乾燥を与えない条件も実験も行った。強度試験を実施するまでの養生期間は、4、8、15週間とした。なお、昨年度の一軸圧縮試験からは、乾燥を与える時期と強度が密接な関係に有ることを明らかにしていた。打設後の3日目に乾燥を与えた場合は、その後の養生条件に関係なく、養生期間が長くなるに従い一軸圧縮強さは増加の傾向を示した。これに対して、乾燥の時期が遅くなるほど、その後の養生条件に関係なく、一軸圧縮強さは低下の傾向が認められ、長期の水中養生後に乾湿を与えた場合の一軸圧縮強さは、乾湿を与えない場合のそれを下回る結果を得た。このような成果を踏まえて、今年度は、乾燥履歴を与えた場合に起きると予想される内部メカニズムの変化を明らかにするため三軸圧縮試験を実施し、以下の事項を明らかにした。 1)応力〜ひずみ曲線からは降状応力が確認でき、乾燥時期や養生期間に対応した降状曲面が求められる。 2)乾湿に伴う破壊基準や降状曲面の変化が明確になった。例えば、乾湿によって強度低下を起こす場合は、最大強度線は残留強度線に移行する傾向が強く、降状曲面はほぼ相似形に縮小する。 本研究を通して、これまで知られていなかったセメント改良土の乾湿に伴う劣化の実態や強度変形特性に関する基礎的な内容が明らかにした。原位置で乾湿を受けやすい環境箇所では、劣化対策が必要になるであろう。
|