1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650504
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山下 隆男 京都大学, 防災研究所, 助教授 (30111983)
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Keywords | 広域海浜流 / 安定海浜工法 / ソフトビーチ / 広域漂流 / 日本海 / 季節風 |
Research Abstract |
日本海沿岸の砂浜海岸の浸食問題は深刻である。これは冬季季節風により日本海で生じる波浪が波形勾配のきつい侵食性波浪であるためである。波浪により生じる流れを海浜流というが,砕波帯内の海浜流は海低では沖向きとなり,これを戻り流れと呼ぶ。戻り流れにより砂浜海岸の底質(砂)は沖方向に輸送されるが,砕波点近傍で沿岸砂洲を形成する形でそれより沖への流出が食い止められる。このメカニズムが維持されている海岸では急速な海岸侵食は発生しないが,沿岸砂洲の形成が,護岸による反射波の発生や港湾の防波堤による沿岸漂砂の阻止などの人為的な要因により破壊されると,海岸侵食の問題が顕著になる。この様な理由により侵食された砂浜海岸を再生させる最も有力な方法として海岸のソフトビーチ化がある。現在わが国で行われている安定海浜工法はそのひとつである。本研究では、日本海沿岸のソフトビーチの変形予測をおこなうため,以下のような研究を行った。(1)海浜変形が生じる限界水深(depth of closure)の特定:大潟海岸において広域海浜流の観測を2年間行い,水深20m〜30mまでは強風による吹送流で底質が移動していることを明らかにした。(2)柿崎漁港の建設に伴って形成された安定海浜の形状を分布し,日本海においても安定なポケットビーチが形成されることを確かめた。(3)日欧米での養浜工の海岸保全への適用の仕方を分類し,その望ましい適用方法を総括した。
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[Publications] 山下隆男,黒岩正光,野田英明: "現地観測データからみた海浜流場と海岸地形の変動特性との関係"海岸工学論文集. 45号. 576-580 (1998)
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[Publications] Yamashita,T., H.Yoshioka. Lu Ming, S.Kato and C.Shimoda: "ADCP observation of nearshore current structure in the surf zone"Proc.of Int.Conf.On Coastal Engineering,ASCE. Vol.2. 787-800 (1998)
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[Publications] 加藤 茂,山下隆男,安田孝志,三島豊秋: "高次乱流モデルとローラー型砕波モデルを援用した海浜流の3次元数値解析"海岸工学論文集. 45号. 191-196 (1998)
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[Publications] 馬場康之,今本博健,山下隆男,吉岡 洋: "砕波帯近傍における平均流の発生要因の分離"海岸工学論文集. 46号. 191-195 (1999)
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[Publications] 加藤 茂,山下隆男,路 明: "3次元広域海浜流数値モデルの適用性に関する研究"海岸工学論文集. 46号. 211-215 (1999)
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[Publications] 加藤 茂,山下隆男,伊藤 政博,三島豊秋: "風による広域海浜流発生機構と平面分布特性"海岸工学論文集. 46号. 431-435 (1999)
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[Publications] 山下隆男: "技術情報講演会テキスト"わが国の海岸保全を考える-養浜そして海浜工学へ-. 8 (1999)