2000 Fiscal Year Annual Research Report
河口堰の運用に伴う堰上下流水域の水質変化に関する研究
Project/Area Number |
10650514
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
松尾 直規 中部大学, 工学部, 教授 (20093312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 誠 中部大学, 工学部, 講師 (50298486)
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Keywords | 河口堰 / 水質特性 / モニタリング / クロロフィルa / DO / 数値解析 |
Research Abstract |
本年度はDOの変化に着目した長良川河口堰モニタリング資料の整理・分析と環境境界条件の違いによる長良川河口堰上下流域の水理・水質解析を行った。 長良川河口堰モニタリング資料の解析では、まず、当研究チームにより進められている長良川河口堰下流域の流れと密度場(水温、塩分)の現地観測結果および堰管理所で計られた気象・流量データから、河口堰下流域の流れの特性を検討し、それらが概ね大潮・小潮といった潮位変動に大きな影響を受けていることを改めて示した。さらに、それらの流れの特性を踏まえてDOの低下現象に着目すると、多くの場合、洪水後にDOが低下していることが分かった。これは、洪水により下流域の塩水は海域へ押し出されるが、河口のマウンドにより停滞する海水が現れ、河川流量が減少するにつれて相対的に密度効果が大きくなり、高濃度の塩水が河川底層に広がる状況となる。このとき、河口では洪水の影響により海水濃度が低下しているため、上げ潮時に遡上する海水は底層に存在する海水より密度が低くなり、底層に潜り込まない。このため、成層が発達し鉛直混合が抑制されるため、底泥によるDO低下が進み貧酸素化するものと考えられる。さらに、洪水後、小潮の場合は、大潮の場合よりも鉛直混合が抑制されるため、より急激にDOが低下することが分かった。したがって、洪水後は、特にDOの低下に注意を払う必要があることと、その場合の河口における塩分濃度の状況が一つの指標になることが示された。 つぎに、平成7年〜平成11年の8月における堰上流域の流れと水質の数値解析を行い、数値解析モデルの再現性と得られた水理・水質特性について検討を行った。この結果、浚渫の進行に伴う河床形状の改変が流れに及ぼす影響に加え、藻類の増殖・集積減少が流量、風向・風速、および堰操作により時空間的に変化する状況が流動特性との関連より明らかにされた。 また、堰下流域の流れと塩分の3次元解析を行った。この解析において、河口干潟の露出や揖斐川の分合流の状況を含めて、観測結果との比較から定性的な流れと密度場が再現された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 武田誠,松尾直規: "統計学的手法を用いた長良川河口堰モニタリング資料の解析"環境工学研究論文集. 第37巻. 369-378 (2000)
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[Publications] Makoto TAKEDA,Naoki MATSUO Mikihito KATO: "Flow characteristics in downstream area of nagara river estuary barrage"Twelfth congress of the APD-IAHR. 417-424 (2000)
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[Publications] 松尾直規,武田誠,加藤幹人: "長良川河口堰下流域の流動特性"水工学論文集. 第44巻. 1029-1034 (2000)
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[Publications] 松尾直規,武田誠,上山雅之,中本貴久: "数量化理論I類によるクロロフィルaとDO変動の支配因子の解明"土木学会第55回年次学術講演会. II-319 (2000)
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[Publications] 吉戸嘉浩,武田誠,松尾直規: "長良川河口堰下流域のDO変動に関する研究"平成12年度土木学会中部支部研究発表会. 211-212 (2001)
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[Publications] 松尾直規,武田誠,吉田吉治: "長良川河口堰上下流域の水質特性"中部大学総合工学研究所 紀要. 11巻. 139-146 (1999)