1998 Fiscal Year Annual Research Report
粗面開水路流における渦の動的構造に関する実験的研究
Project/Area Number |
10650515
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
WELLS John C 立命館大学, 理工学部, 講師 (60301644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇民 正 和歌山大学, システム工学部, 教授 (00027244)
江頭 進治 立命館大学, 理工学部, 教授 (00027286)
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Keywords | 境界層 / 粗面乱流 / 乱流構造 / 粒子と流体の相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、乱流構造を調べるための測定技術の開発とそれによって得られるデータに基づいて粗面乱流構造を明らかにしようとするものであって、ここでは、次の二つのテーマに焦点を絞り、これらを推進している。(1)Particle Image Velocimetry(「PIV」)法の開発、(2)粗面開水路乱流構造に関する実験とデータの収集・解析 課題(1)は、次のように進めている。これまでの殆どのPIV実験においては、ライトシートは主流に対して平行に照射されている。これは、トレーサー粒子がライトシートからなるべく外れないようにするためである。ところが、乱流境界層において流れ方向の渦構造(「縦渦」)が卓越し、これらの構造を解析するためには、横断面で照明した方が最適である。そこで、本研究では、横断面に照射できる装置を考案した。これは、回転鏡を用いてレーザー光を二回走査するものである。二回目の走査は、トレーサー粒子の平均流れに合わせて主流方向に移動する。レーザーシートの移動量の再現性を改良するために、円柱レンズを用いて、回転鏡の微妙な振動はレーザーシートの位置に影響しない。 課題(2)については、次のように進めている。滑面開水路上の縦渦構造を明らかにするため、可視化実験を行った。ここで、底面より染料を注射し、流れを横断面で照明することによって、逆回転の渦ペアーが染料を巻き込まれ、きのこの形に見える。この染料パターンの画像解析の結果、縦渦の空間関係は、staggeredである。この構造は、1991年から米国のStanford大学等で行なわれた数値シミュレーションの結果によって推定されているが、本研究は、これに対して初めて実験的な証拠を得ている。そこで、この可視化法を、粗面乱流境界層における流砂の力学に適用した。粒子の両側のほぼ等しい位置にstreak(低速縞)や縦渦が現れる、つまり外層から高速流体が底面に近づくときに、粒子が動き始めている。この動き出す運動に影響を及ぼす渦のスケールは、粒径により異なっていることが分かった。底面に近い縦渦は、小さい粒子の運動に影響しているが、渦と同じ程度の直径の粒子の運動に対しては影響が小さい。大きい粒子は、よりスケールの大きい渦構造の影響を受けている。大きい粒子が底面から離れて掃流から浮遊への遷移機構も、渦構造と密接な関係があることが示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山根祐樹、J.C.Wells, 江頭進治、中川博次: "開水路上における縦渦の構造の特性と力学" 第30回流体力学講演会講演集. 113-116 (1998)
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[Publications] 鮎川栄治, J.C.Wells, 江頭進治, 中川博次: "乱流境界中の組織構造と粒子の浮遊に関する研究" 土木学会関西支部年次学術講演会講演集. (印刷中). (1999)
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[Publications] 高島史揚, J.C.Wells, 江頭進治, 中川博次: "開水路乱流における渦構造と粒子運動の関連性" 土木学会関西支部年次学術講演会講演集. (印刷中). (1999)