2000 Fiscal Year Annual Research Report
交通ネットワークと多都市システムの一般均衡モデルに関する実証的研究
Project/Area Number |
10650518
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
文 世一 京都大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (40192736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芥川 一則 福島工業高等専問学校, 助手 (40310990)
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Keywords | 交通ネットワーク / 都市システム / 一般均衡分析 |
Research Abstract |
本年度の研究で得られた成果は以下の通りである. (1)モデルのキャリブレーションと検証: 昨年度には個別関数の推定を行ったが,統計資料の制約により残されていた未知のパラメータを、シミュレーションモデル全体を操作して,キャリブレーションにより推定した。推定したパラメータを入力して多地域一般均衡のシミュレーションを実行し,均衡解と実際のデータとの比較を行うという,ファイナルテストを行った.その結果,このモデルが経済活動の空間分布をよく説明していることがわかった。 (2)交通ネットワーク整備の影響に関するシミュレーション分析: 多地域モデルを用いてシミュレーションを実行し、輸送費低下の効果、および地域間交通ネットワーク整備の効果を分析した.また世帯の効用変化に基づいて、交通整備の経済便益を評価した.まず一般的な傾向を調べるため、すべての財、すべての地域間の輸送費が一様に減少した場合、地域別人口分布と経済便益がいかなる変化するかを調べた.次に東北地方で計画されている高速道路の各路線が開通した場合、地域別人口分布や経済便益がどのように変化したかを比較検討した。 (3)研究成果のまとめ: 以上の分析結果にもとづいて、代替的な交通ネットワークの整備パターンが対象地域の空間構造が分散化させるのか集中化させるのかという点、およびそれぞれの整備案がもたらす経済便益の大きさという観点から評価結果をとりまとめた。主たる結論は、既存の大都市と小都市を結ぶリンクの整備は、大都市へのさらなる経済活動の集中をもたらすこと、そして小都市間を結ぶリンクの整備は空間構造の分散化と相対的に高い経済便益をもたらすことが示された。
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[Publications] 芥川一則,文世一: "地方政府による私的サービスの供給"応用地域学研究. 5. 139-148 (2000)
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[Publications] 佐々木公明,文世一: "都市経済学の基礎"有斐閣. 253 (2000)