Research Abstract |
(1) 事故データの解析とCED変換モデル解釈:道路区分と事故類型のテータより,幹線道路では43%程度が追突事故であり,この型の事故シミュレーションをまず開発する.事故は環境要因,人間要因,自動車要因が複合化して発生するが,その複合化を人間要因であるドライバーのCED変換構造に着目するとし,この観点から種々の合図についてのドライバーの反応差や,認知危険度と事故率の関係の分析を行い,各プロセスでのミスの発生と反応遅れ,および環境要因であるミスの吸収余裕度によるモデル化の可能性を明らかにした. (2) ペトリネットによる事故内包型の交通流シミュレーションシステムの開発:既開発のミクロ交通流のペトリネットシミュレーターの安全確保機構は,(1)のCED変換の視点からすれば,認知が即正しい指令となるCD変換であり,それをCED変換構造に拡張するとともに,その各部位でのミスが,環境要因である外的要因と人間の内的要因とで発生する部分ペトリネットを開発した.それと同時に,ミスの発生の認識という人間能力とその結果としての反応系,および反応遅れを吸収する環境要因側の余裕度の部分ペトリネットを作成し,それらを既開発の交通流のシミュレーションネットに結合させ,事故内包型のシミュレーターに拡張した.そして,その駆動が既開発のソフトで可能であることを確認した. (3) 適用研究と課題:追突事故は,前方車の停車ないしは減速に対して,後方車に認知ミスないしは反応遅れが起きた場合に発生する.ここでは,環境要因が危険な地点ほど緊急制動の必要性が増すとし,内的要因は単純に確率に作用するとした.一方,認知ミスの発生は,地点の認知危険度が一定以上のときは逆に少な目とし,また反応遅れは大小の2パターンの確率生起とした.そして,余裕度は,車間を規定する閉塞区間の区切り方として,最高速度と発進遅れをパラメータとする単路部でのシミュレーションを実施し,事故発生を確認した.課題としては,各種減速アルゴリズムの組入れとその破綻化ネットの追加,交差点部での追突ネットの開発,ミス要因としての携帯電話の考慮,および環境要因の直接的組入れによる危険地点評価への適用研究の実施である.
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