Research Abstract |
Eガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂で構成される連続引抜成形FRP形材の接合部の基本的な力学性状を解明することを目的として,昨年度に引き続き載荷実験を実施した。すなわち,昨年度は,(1)接合方法(ボルト,リベット,接着,ボルトと接着との併用),(2)接合形態(ファスナー間隔,へりあき,はしあき,ファスナーの本数,接着面積)を実験変数として合計68体の実験を行い,基本的な破壊特性を明らかにした。本年度は,新たに5体追加して73体とするとともに最大荷重時点での破壊状況をより詳細に観察することで,最終的にはせん断型破壊とみられた試験体であっても,最大荷重時は支圧型破壊のモードのものもあることを明らかにした。また,そうした各試験体の観察による破壊形式は,予めアコースティックエミション(AE)を計測することで推測した破壊形式と各々良く対応することも調べた。 次に,新たに,ボルトやリベットでの接合部の設計に必要な,ボルトやリベット孔(円孔)を有する母材の引張試験を実施した。本年度は,孔の大きさや個数を変化させながら合計15体の試験体に対する実験を実施した。一般には,実験脆性材料の場合には,円孔による応力集中で耐力は,理論的に約1/3以下にする。本実験では,連続引抜FRP形材の破壊がトランスバースクラックの蓄積によるため,その蓄積過程で応力再配分が生じた結果,母材引張度は,母材断面積から欠損部を除いた有効断面積に比例する関係が得られた。そうした結果から等価な欠損径の算出を試みたところ,いずれの試験体でも,実際の円孔径の約1.3倍となることを解明した。 以上,本研究により,継ぎ手接合部の設計に必要な接合材の耐力算定法並びに母材の耐力算定法が確立された。
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