1998 Fiscal Year Annual Research Report
システム同定を用いた空間構造システムの損傷検出に関する研究
Project/Area Number |
10650576
|
Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
濱本 卓司 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (10228546)
|
Keywords | 損傷検出 / 空間構造 / 振動台実験 / システム同定 |
Research Abstract |
空間構造(立体トラスや立体フレーム)は,極めて多くの部材で構成される構造システムである。このため,部材ごとに検出することは,多大な労力・コスト・時間を必要とする。このような場合に,初めから部材レベルで損傷を検出する方法とは逆に,まず全体システムの損傷による変化に着目し,徐々に損傷領域を絞り込み,最終的に損傷部材の位置を特定し,損傷程度を評価しうる逆手法が開発できれば,大幅な労力・コスト・時間の低減が期待できる。この線に沿った有望は方法の一つとして,振動モニタリングに基づく損傷検出法を提案した。その有効性と適応限界を検討するために,本年度は以下の項目を行った。 1. 模型制作・・・24部材13節点で構成されるドーム状トラス構造模型を作成した。各部材はコイルバネと軸により構成される。部材損傷を表現するため,コイルバネに使用する鋼材の径を変化させて,異なる剛性を作り出した。軸は部材内に生じる曲げやねじれを防ぐ役目をする。また,スライドベアリングを用いて極めて滑らかに滑るものとした。模型は部材剛性の低下のない健全時(Case0)と,部材に剛性の低下したコイルバネを使用した損傷時(Case1〜3)を作るため,健全時の部材24本と,損傷用として50%低下したものを4本80%低下したものを4本用意した。接合部は頂部1個,中間6個,支持部6個の3種類を作成した。部材と接合部のより構成される立体トラス模型は,自由振動実験と振動台実験の両実験で利用できるように鋼板上にボルト結合して固定した。 2. 予備振動台実験・・・本年度は研究の全体系を把握するためにランダム波加振による振動台実験をおこなった。立体トラス模型を振動台にボルト結合し,上下方向ランダム加振実験を行い,各節点における応答を計測した。損傷状態の違いによる固有振動数とモード形の変化より,運動エネルギーを用いて損傷領域を絞り込み,その領域を対象に損傷部材の特定と損傷程度の評価を行った。 3. 結果と課題・・・領域を特定することは比較的精度良く行うことができた。しかし,領域における損傷部材の特定および損傷程度の評価は信頼性に欠けるものである。来年度は,トラス模型の問題点の解決と実験方法の検討・改良を課題とする。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 濱本・三好・宗像: "2軸偏心を有する多層建築物の鉛直・水平2段階損傷検出 〜その1 2軸偏心の場合の損傷検出法の定式化〜" 1998年度日本建築学会大会学術講演梗概集. B-1. 401-402 (1998)
-
[Publications] 濱本・三好・宗像: "2軸偏心を有する多層建築物の鉛直・水平2段階損傷検出 〜その2 振動台実験による損傷検出法の検証〜" 1998年度日本建築学会大会学術講演梗概集. B-1. 403-404 (1998)
-
[Publications] 濱本・小峯: "振動モニタリングによる偏心を有する多層建築物の損傷検出" 構造工学論文集. Vol.44B. 369-374 (1998)
-
[Publications] 濱本・小峯・三好・宗像: "システム同定を用いた多層建築物のねじり連成振動からの地震損傷予測" 日本地震工学シンポジウム. 第2分冊 G2-7. 2431-2436 (1998)
-
[Publications] 濱本・近藤: "鉛直・水平方向探索を用いた偏心を有する多層建築物の二段階損傷検出" 日本建築学会構造系論文集. (予定). (1999)
-
[Publications] 濱本・三好・大浴: "システム同定手法を用いた立体トラスの損傷検出" 1999年度日本建築学会大会学術講演梗概集. (予定). (1999)