1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650579
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Research Institution | KINKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺井 俊夫 近畿大学, 工学部, 教授 (50025863)
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Keywords | 床板の温度上昇と熱応力 / コンクリートの加熱破壊 / 水蒸気圧爆裂 |
Research Abstract |
前年度に行った同一調合のコンクリート試験体の熱伝導率と応力ひずみ特性の結果を用いて、無載荷のコンクリート梁をJIS加熱曲線に従って加熱した場合の温度上昇と応力分布、たわみの変化を30分間まで計算した。これにより断面内の熱応力の時間変化が明らかになった。温度上昇はコンクリート熱分解を考慮した、熱、水分の同時移動式を用いている。 しかしこの計算では、材料を均質として取り扱っているので、骨材とモルタルの間の熱応力による破壊、爆裂を予測する事はできない。このため骨材およびコンクリートの爆裂の実験を行なった。 骨材およびコンクリートの加熱実験では試験体を800℃の炉に入れ、急激な加熱を行なうものである。骨材単体として、安山岩、花崗岩およびチャートを用いた。安山岩では破壊せず、花崗岩は結晶界面から崩れた。チャートは節理のあるものは破裂した。これらの骨材を用いコンクリートを作成した。作成に際し真空脱気、圧縮養生し、空隙率を小とした。安山岩のものは微細なひび割れが、花崗岩のものは大きい亀裂が、チャートのものは表面でチャートの破裂による剥離部分が生じた。これは骨材の破壊の性質とよく一致することがわかった。 次に、加熱に対し安定な安山岩を骨材とし、通常の方法で空隙率を操作せず作成養生した飽水状態のコンクリートを、常温から1000℃/30分の割合で加熱した。試験体中心温度が250℃前後に達すると爆裂し、細片となった。三個の試験体すべて同様な結果となり再現性がある。しかし100℃で乾燥させ含水率を小としたものは爆裂しない。本実験での破壊の性状は前述のものと異なるので、水蒸気圧による爆裂と考えるのが妥当である。またこの破壊性状はこれまでの文献には報告されていないものである。
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