1998 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の集落における空間の共有性及び環境保全規範の変遷と再構築
Project/Area Number |
10650611
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
清水 肇 琉球大学, 工学部, 助教授 (40244280)
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Keywords | 集落 / 共有性 / 共同体 / 環境保全規範 / 沖縄 |
Research Abstract |
沖縄県内全般における村内法(むらないほう)の整理、並びに島尻地区におけるケーススタディにより、集落空間の共有性と環境保全規範把握のための枠組みを得た。 基本的な集落空間の構成(御嶽から共同利用空間へ至る抱護の秩序)とそれに対応する規範の存在が村内法の項目分類により説明できる。すなわち、各村(集落)ごとの井泉、山野、抱護林から屋敷囲いに至るまでの管理、保全、修復についての規範や禁止事項である。 このような規範を現在の住民が確認できる場が、祭祀と行事である。村の御願(うがん)の場は樹林地や集落の奥側にある聖域、集落内の井泉、拝所、または集落外の聖地や遥拝所であり、聖域の性格が定期的に確認される機会になっている。また、行事や芸能は広場や施設だけを使うものもあるが聖域から広場空間までのつながりが動的に表現される行事もある。以上を南風原町、糸満市を中心とした御願経路、行事経路のケーススタディにより明らかにした。 なお、これらの原形は特に島尻地域において沖縄戦によって一旦ほぼ焼失した。そして、戦後復興の過程でかなりのものが復元されたものの、戦時における集落の要塞化や聖域の物理的焼失が、共有領域の象徴性の希薄化の伏線となっており、戦後の集落空間の自律的整備の中で所有権移動が行われるなど、一部に解体過程が見られる。これが、その後の集落空間の共有性や環境保全規範にも影響していることも明らかになった。
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Research Products
(1 results)