1999 Fiscal Year Annual Research Report
家族と住生活にみる東京郊外「山の手」住宅地の形成と変容に関する研究
Project/Area Number |
10650616
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
松本 暢子 大妻女子大学, 社会情報学部, 助教授 (90183954)
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Keywords | 家族 / 住生活 / 郊外住宅地 / 住宅更新 / 山の手住宅地 |
Research Abstract |
近年の家族構造の変化は、居住者の居住スタイルに様々な影響を与えており、こうした変化は住宅需要と密接な関係をもっている。また、即地的にみると、その居住地域の住宅の建て替え、土地利用の変化などに影響を与えている。これまで住宅の建て替えに注目した分析を行ってきたが、本研究では家族の居住実態(特に、住生活)と住宅建て替えや土地利用の変化と関連づけて即地的に分析することとにより、そのメカニズムと住宅地の変容への影響を整理することとした。 1999年度は、建て替えに至る条件および建て替えに至らなかった事例を通して、第一に家族の住生活と住宅建て替えの関係を定性的に整理し、第二に近年の建て替え実態の分析にもとづいて今後の動向の検討を行った。特に昨年度入手した梅ヶ丘地区の建築確認概要書の分析をもとに、昭和初期に開発された住宅地の最近の変容と家族の住生活についてのインタビュ-調査を行った。 現段階における結果を要約すると、宅地・住宅の継承が困難となっていることが明らかである。現地における住宅建替えは、日常生活への影響は大きく、高齢化した居住者の一時的な移転をともなうために行われにくい。その背景には、東京山の手の住宅地では、宅地住宅の継承の意識が弱く、資産価値の継承に置き換えられつつあるものと思われる。高齢期の長期化は子どもと親世代の別居となり、住宅の建替えなどの起こりにくい状況にある。そのため、高齢者の没後、売却される傾向が強く、従来の居住継承のパタ-ン(親子同居、没後住宅の継承)とは、異なった状況をみせている。
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