2000 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト構造中の電子,フォノン伝導機構
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10650653
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
羽坂 雅之 長崎大学, 工学部, 教授 (30039698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森村 隆夫 長崎大学, 工学部, 助手 (30230147)
近藤 慎一郎 長崎大学, 工学部, 助教授 (00225616)
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Keywords | 熱電半導体 / 充填スクッテルダイト / ゼーベック係数 / 熱電変換 / スピンキャスト |
Research Abstract |
クリーンなエネルギーの開発と安定供給、マイクロ化技術に必要な熱電的制御技術の開発等、今日の重要な課題の解決のために、熱電変換効率の優れた熱電半導体の開発が強く望まれている。中でも、充填スクッテルダイト構造を持つ半導体はトップクラスの巨大なキャリア移動度とアモルファス並みのフォノン散乱頻度を兼ね備えているため、次世代の熱電半導体の有力候補であり、研究開発が強く期待されている。 本研究の目的は、希土類元素-遷移元素-アンチモン系において、充填スクッテルダイト構造の形成条件を明らかにし、構造の詳細と形成条件との関係を明らかにすること、そうして、充填スクッテルダイト構造中の電子、フォノンの伝導に関する基本的な知見を得、電気伝導度と熱伝導度を制御して所望の熱電半導体を設計するのに役立てることである。 具体的には、本研究では先ず、セリウム、ランタン等の希土類元素、鉄、ニッケル、コバルト等の遷移元素、アンチモンを種々の組成に秤量し、高周波溶解およびスピンキャストと熱処理を施すことによって、充填スクッテルダイト構造を作製した。続いて、電気伝導度、熱伝導度、ゼーベック係数等の熱電特性の測定、X線回折実験、電子顕微鏡EDX分析、電子顕微鏡観察等を行った。 本研究においてこれら実験と解析により得られた主な結果は次の通りである。充填スクッテルダイト構造は、充填率の増加に伴って共有結合から金属結合の性格を帯びるようになり、一定の電子密度の範囲内で形成する。充填スクッテルダイト構造の格子のサイズは主に充填率に依存し、充填率は成分組成の制御によって可変である。アンチモンのつくる四角形のリングは充填率の増加によって正方形に近づく。これら構造的変化に呼応して、電子、フォノン伝導の挙動が異なり、熱電的性質が複雑に変化する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Kitagawa: "Skutterudite Structure and Thermoelectric Property in Ce_fFe_<8-x>Co_xSb_<24>(f=0-2,x=0-8)"Materials Research Bulletin. 35巻. 185-192 (2000)
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[Publications] H,Kitagawa: "Skutterudite Structure and Thermoelectric Properties in spin-cast Fe_xCo_yNi_zSb_<24>(x+y+z=8) Ribbons"Scripta Materialia. 43巻8号. 727-731 (2000)
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[Publications] 羽坂雅之: "熱電材料Ce_xFe_<8-y>Ni_ySb_<24>のHREM観察"Materia Japan. 39巻12号. 1000 (2000)
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[Publications] M.Hasaka: "Skutterudite Structures and Thermoelectric Properties in the Ce-Te-Ni-Sb system"Proceedings of International Conference on Thermoelectrics. 20巻(in press). (2001)