1998 Fiscal Year Annual Research Report
ベイナイト変態の変位型無拡散機構関与に関する高分解能フラクトグラフイによる検証
Project/Area Number |
10650655
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 謙一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60029832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 陽一 金沢工業大学, 工学部, 講師 (70265370)
矢島 善次郎 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60148145)
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Keywords | ベイナイト / 相変態 / 原子拡散型 / 原子変位無拡散型 / Cu-Zn-Al合金 / 炭素鋼 / 高分解能フラクトグラフイ |
Research Abstract |
ベイナイト変態機構に関する従来の二つの説、核生成と成長の初期段階で原子変位型無拡敗機構が関与したか終始原子拡散機構が支配したか、のいずれかを明らかにするため、従来は実物薄膜試料の高分解能および元素分析電子顕微鏡による研究が行われてきたが、本研究ではバルク試料におけベイナイトー母相界面に沿う破面の高分解能走査電子顕微鏡によるフラクトグラフイと元素分析、さらにはX線回折によるひずみ解析により界面を通しての原子拡散の有無を詳細に検証することにした。 本研究では当初、析出物が生成せずに拡散機構の関与がそれほど明瞭でない銅ー亜鉛ーアルミニウム合金を使用して上述のような検証を行う予定であったが、試料作製段取りの手違いのため大幅に遅れベイナイト変態を示す組成の銅ー亜鉛ーアルミニウム合金を調製するだけに終わってしまった(平成11年度には上述の検証を実施できる)。 試料調製が遅れた分、ベイナイト変態においてベイナイト晶内にセメンタイトが析出し拡敗機構の関与が比較的明瞭な炭素鋼につして上述の検証を実施した。本年度はその結果について報告する。原子拡散機構だけが関与して生成した初析フエライト部の破面にはリバーパターンも見られる典型的な癖開破面が観察された。一方、原子変位型無拡散機構だけが関与して生成したマルテンサイト部には微細なマルテンサイト晶がそれぞれに癖開破壊したと思われる細かな領域に分かれていた。原子のやり取りが行われたはずのフエライトと旧オーステナイトとの界面に沿う破面および原子のやり取りが無かったマルテンサイトとオーステナイトの界面は得られなかったが、フエライト部とマルテンサイト部では破面の様相が異なることは確かである。元素分析も行った結果、拡散の有無で破面の様相が大きく変化することが分かった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kakeshita,Y.Sato,T.Saburi,K.Shimizu et al.: "Effects of Magnetic Field on Athrmal and Isothermal Martensitic Transformations in Fe-Ni-Cr Alloys" Mater.Transactions,Jpn.Inst.Metals. 40,2. 100-106 (1999)
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[Publications] T.Kakeshita,Y.Sato,T.Saburi,K.Shimizu et al.: "Effects of Static Magnetic Field na Hydrostatic Pressure on the Isothermal Martensitic Transformations in an Fe-Ni-Cr Alloy" Mater.Transactions,Jpn.Inst.Metals. 40,2. 107-111 (1999)
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[Publications] K.Shimizu: "Recent Activities of the Japan Association of Shape Memory Alloys" Proc.Japan-China Bilat.Symp.on Shape Mem.Alloy. 1-8 (1998)
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[Publications] Y.KIshi,Z.Yajima and K.Shimizu: "Effect of Microstructures on Fatigue Behavior of Ti-49.7at%Ni1.38at%Co Shape Memory Alloy" Proc.Japan-China Bilat.Symp.on Shape Mem.Alloys. 75-80 (1998)
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[Publications] 清水謙一: "マルテンサイト変態結晶学の歴史-西山・Kurdjumovの業績を中心に" 日本金属学会会報“まてりあ". 37,8. 655-658 (1998)
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[Publications] 清水謙一: "変位型原子無拡散相変態に関する研究の流れと学界の動き" 日本鉄鋼協会誌“ふえらむ". 3,2. 31-36 (1998)