1999 Fiscal Year Annual Research Report
フイジカルエージングを応用した耐熱性・長時間耐久性を有するFRTPの創製
Project/Area Number |
10650679
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宗宮 詮 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40051700)
|
Keywords | FRTP / クリープ / フィジカルエージング現象 / 粘弾性 / 変性PPE / PES / ポリカーボネイト / DSC |
Research Abstract |
本研究は、熱可塑性高分子材料に顕著に発生するフィジカルエージング現象と繊維の充填効果を積極的に利用してクリープ現象の抑制を行うことが目的である。本年度は、ガラス繊維強化ポリエーテルスルホン(PES)、ガラス繊維強化変性PPE、ガラス繊維強化ポリカーネート等のFRTP材料を準備した。これらの材料にフィジカルエージングを施し、クリープ挙動に及ぼす影響を定量的に調べた。ガラス転移温度Tg以下で1000時間まで各種時間、フィジカルエージング処理を施した。PESについては、クリープ試験時に異常な挙動が確認されたため検討した結果、PESの高吸水性に依存し、水分の拡散が関与する特異な材料であることを明らかにし、絶乾状態を標準状態とした。 フィジカルエージング処理にともなう材質変化を前年度購入したDSCにより調べた結果、いずれの材料でも粘弾性挙動を示す指標が処理時間の増加とともに減少することがわかり、分子状態(構造)に変化が発生していることが確認された。次に曲げクリープ試験を実施した。その結果、フィジカルエージング処理にともないクリープの発生量が顕著に減少することが確認された。クリープ曲線より計算したクリープコンプライアンス曲線は、処理時間の増加とともに、下方にかつ長時間方向に移動した。このことは、弾性率が増加したのと同様の効果、曲げ剛さを上昇させ、かつ粘性の発現を遅らせる効果をもつことが確認された。同様の変化は、繊維の充填によっても発生することが確認された。量的に見ればFRTPをフィジカルエージング処理した場合、PESのFRTPのWf=30%材を例に取れば、樹脂母材が一定のたわみに達する時間の約1000倍になることが確認された。 特に、処理温度、時間、繊維混入率に等価性とこれら因子とクリープコンプライアンス曲線の関係が確認された。今後、各要因を考慮したクリープコンプライアンス値の計算、ひいてはクリープ量を計算することが可能であることを明らかにした。
|
-
[Publications] ビスワスK.K.,行枝みな,川上努,宗宮詮: "ガラス繊維強化ポリカーボネイトの曲げクリープ特性の研究"日本複合材料学会1999年度研究発表講演会予稿集. 51-52 (1999)
-
[Publications] 川上努,K.Biswas,宗宮詮: "ガラス繊維強化ポリエーテルサルフォンのクリープ特性(母材樹脂中の水分の影響)"日本機械学会1999年度年次大会講演論文集. III. 223-224 (1999)
-
[Publications] ビスワスK.K.,行枝みな,川上努,宗宮詮: "ステンレス繊維充填変性PPEのクリープ挙動に及ぼす定温エージング効果の研究"日本機械学会1999年度年次大会講演論文集. III. 229-230 (1999)
-
[Publications] KK.Biswas S.Somiya: "Evaluation of Isothermac Aging in Creep Behavior of Stainless Fiber/PPE"Proceeding of the 6^<th> Japan Int.SAMPE Symposium. 1. 590-593 (1999)
-
[Publications] ビスワスK.K.,行枝みな,川上努,宗宮詮: "ガラス繊維強化ポリカーボネイトのクリープ挙動に及ぼすフィジカルエージングの影響"日本機械学第7回機械材料・材料加工技術講演会 講演論文集. 139-140 (1999)