1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650688
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 吾朗 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80158758)
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Keywords | クリープ / 試験片厚さ / 結晶粒径 / Al-1%Si-0.5%Cu合金 / 転位クリープ / 粒内延性破壊 / 再結晶集合組織 / 拡散クリープ |
Research Abstract |
半導体デバイスに一般に用いられるAl-1%Si-0.5%Cu合金の薄板材(50〜200μm)の引張試験片(平行部幅6mm,長さ10mm)を,溶解,鋳造,熱間・冷間圧延などにより作製し,大気中,温度200℃,初期応力σ=25〜40MPaの条件で,定荷重引張クリープ試験に供した。そしてクリープ変形・破壊挙動に及ぼす試験片厚さtおよび結晶粒径dの影響を調べた。 その結果,試験片が薄くなるほど定常クリープ速度ε_sは概して速くなったが,同じ厚さでも結晶粒径が大きくなるほど,クリープ速度は速くなり,結局t/dが小さくなるほどクリープ速度が速くなると結論された。一方応力に対しては,概ねε_s∝σ^nのべき乗則が成立し,応力指数nは6〜10という値となった。また破面は粒内延性破面を呈した。これまで半導体デバイス配線の変形機構として拡散クリープが引用されてきたが,本試験条件下では転位クリープが主たる機構であると結論された。 引続き,別に調製した30および10μm厚の箔材についても同様に試験した結果,上記とは逆に試験片厚さが薄くなるほどクリープ速度は遅くなった。この原因として調製方法の違いによる試験片の再結晶集合組織の違いが考えられたので,X線回折により調べたが,この違いではクリープ速度の違いを説明できなかった。 一方上述のようによく引用される拡散クリープについて,理論的に解析した結果,クリープ速度と応力・結晶粒径などに関する結論の関係式は同じであったが,従来の理論の導出方法には大いに問題があり,新しい導出方法を提案しつつある。
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