1998 Fiscal Year Annual Research Report
溶融塩を媒体とした電析法による耐高温環境性表面の創製
Project/Area Number |
10650702
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
原 基 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (50156494)
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Keywords | 溶融塩 / 電析 / 希土類元素 / イットリウム / ランタン / 表面 |
Research Abstract |
本研究では、溶融塩電解による希土類元素の電析と、同時に進行する電析金属と基板金属との相互拡散を利用して、耐熱ステンレス鋼表面に希土類元素を添加し、耐高温環境性表面の創製を試みるものである。平成10年度においては「1,希土類元素イオンのカソード還元挙動の調査」および「2,定電位分極法による希土類元素の基板表面への電析添加」の2項目について研究を行なった。得られた結果は次のとおりである。 1, 希土類元素イオンのカソード還元挙動の調査 (1) Y^<3+>イオンのカソード還元挙動 1073Kの等モルNaCl-KCl溶融塩に1〜4mol%のYCl_3を添加し、Ni板を試料電極としてカソード分極曲線の測定を行なった。その結果、-1.8V(vs.Ag/AgCl(0.1))以下の電位域でY^<3+>イオンの還元反応が起こることが明らかになった。 (2) La^<3+>イオンのカソード還元挙動 1023Kの等モルNaCl-KCl溶融塩に4mol%La_2O_3と12〜24mol%NH_4Clを複合添加し、Ni板を試料電極としてカソード分極曲線の測定を行なった。この場合の溶融塩中ヘのLa^<3+>イオンの添加は、添加塩のLa_2O_3とNH_4Clの化学反応によるLaCl_3の生成により行なった。-1.6V以下の電位域ではLa^<3+>イオンの還元反応が起こることがわかった。 2, 定電位分極法による希土類元素の基板表面への電析添加 (1) YのNi基板表面への添加 1023KのNaCl-KCl-2mol%YCl溶融塩中、Ni板を試料電極として-1.8、-2.0および-2.2Vの各電位に1.8ks定電位カソード分極を行なった。試料断面を観察した結果、-2.0および-2.2Vの定電位分極においてNi試料表面にY添加層の生成が認められた。 (2) LaのNi基板表面への添加 1073KのNaCl-KCl-4mol%La_2O_3-24mol%NH_4Cl溶融塩中、Ni板を試料電極として-1.6、-1.8、-2.0および-2.2Vの各電位に1.8ks定電位カソード分極を行なった。試料断面を観察した結果、-2.0および-2.2Vの定電位分極においてNi試料表面にLa添加層の生成が認められた。 以上のように、基礎実験として、Niを基板試料とし、希土類元素であるYおよびLaイオンのNaCl-KCl溶融塩中でのカソード還元挙動さらには定電位分極による電析挙動を調べ、YおよびLaについては基板金属に電析し、基板金属と合金化することがわかった。平成11年度は、基板試料を耐熱ステンレス鋼に変え、同様の溶融塩と電析条件により鋼表面中へのYおよびLaの電析添加を行い、耐高温環境性表面の創製を試みる。
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