1999 Fiscal Year Annual Research Report
溶融塩を媒体とした電析法による耐高温環境性表面の創製
Project/Area Number |
10650702
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
原 基 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (50156494)
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Keywords | 溶融塩 / ランタン / 希土類元素 / 電析 / 高温酸化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、溶融塩電解による希土類元素の電析と、同時に進行する基板金属との相互拡散を利用して耐熱ステンレス鋼表面に希土類元素を添加し、耐高温環境性表面を創製することである。平成11年度においては、前年度の「希土類元素イオンのカソード還元挙動」の結果に基づき、希土類元素の一つであるLaをFe-Cr二元およびFe-Cr-Al三元合金基板上に電析し、合金表面層へのLa添加を試みた。その後、この処理を行った合金の高温サイクル酸化挙動を調査した。得られた結果は次のとおりである。 1.Fe-CrおよびFe-Cr-A合金へのLa電析 1073Kの等モルNaCl-KClに4mol%La_2O_3と24mol%NH_4Clを添加した溶融塩中、Fe-17mass%、Fe-23mass%Cr合金およびFe-10mass%Cr-2mass%Al合金を基板試料として、-1.6Vおよび-2.0V(vs.Ag/Ag^+(0.1))の電位に0.06および0.18ks間定電位分極を行い、Laの電析を行なった。その結果、各合金とも、1mass%前後のLaが50nm以内の表面層中に含まれることがわかった。しかし、Fe-10mass%Cr-2mass%Al合金においては、電析後の合金中においてAl濃度が1.7mass%まで減少したことが確かめられた。 2.La電析したFe-CrおよびFe-Cr-Al合金の高温サイクル酸化挙動 Fe-17および23mass%Cr合金について、1273Kで36ks、10サイクルのサイクル酸化試験を行なった。この結果、Fe-17mass%Cr合金においてはLa電析の有無により酸化増量に差は認められなかったが、Fe-23mass%Cr合金においてはLa電析により酸化増量は大きく低下した。これよりCr_2O_3皮膜形成合金においては表面層へのLaの添加が有効であることがわかった。Fe-10mass%Cr-2mass%Al合金についても同様のサイクル酸化試験を行ない、未電析試料に比べLa電析試料の酸化増量が著しく増大することがわかった。これは、La電析処理により合金中のAl濃度が低下し、これによりAl_2O_3皮膜が生成しなかったことによると考えられた。 以上のように、溶融塩を媒体とした電析法によりFe-Cr系合金表面層への1mass%前後のLaの添加に成功し、この結果、Cr_2O_3皮膜形成合金においては著しく耐サイクル酸化性が向上することがわかった。
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