1998 Fiscal Year Annual Research Report
高分散した酸化物微粒子によるメタンのアノード酸化反応活性化
Project/Area Number |
10650704
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 一則 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20143828)
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Keywords | 固体酸化物燃料電池 / メタン / アノード分極 / 遷移金属酸化物 / 層状結晶構造 |
Research Abstract |
本研究では、メタンのアノード酸化反応に対して高活性を示す電極物質を酸素イオン伝導型固体電解質と組み合わせた固体電解質/電極系を提案し、燃料メタンの直接使用と反応温度の低下を可能にする要因について明らかにすることを目的とした。層状結晶構造の複合遷移金属酸化物PdCoO_2に着目し、この酸化反応活性におよぼす電極構造の影響から遷移金属イオンの複合化効果を検討した。安定化ジルコニア電解質に接合した多孔質白金電極層上面にPdCoO_2粒子からなる多孔質電極層をさらに接合した2層構造型電極を用いた燃料電池は、アノード分極抵抗の低下により高い放電電流密度と高い発生電力密度を示した。活性電極物質としてPdCoO_2粒子は、電解質/電極/反応ガス系の3相界面以外において、メタン水蒸気改質反応の促進ならびにCOシフト反応の促進をそれぞれもたらすことを示し、H_2,CO,およびCO_2の生成速度を高めることを明らかにした。電解質と接していないPdCoO_2粒子は合成ガス(H_2+CO)生成に高い酸化活性を示し、電極反応活性に間接的に寄与することを明らかにした。また、アノードの還元雰囲気において比較的高温まで化学的に安定な複合遷移金属酸化物CoNiO_2粒子を多孔質白金電極基質に分散させたアノードを用いた反応セルは、CoO粒子およびCoO+NiO混合粒子をそれぞれ分散したアノードを用いたセルと比較して、アノード分極抵抗の低下により高い放電電流密度と高い発生電力密度を示した。CoNiO_2粒子分散によるメタンのアノード酸化反応活性化の詳細な機構は明らかではないが、遷移金属イオンの複合化により生ずる粒子表面層Coイオンの優先的な還元酸化反応が、還元ガスに対して高い酸化反応活性をもたらすことが考えられる。以上の結果より、メタンのアノード酸化に高い活性を示す複合遷移金属酸化物は、メタン直接使用が可能な固体酸化物燃料電池およびメタンから効率的に合成ガス生成が可能な電気化学リアクターの電極物質として有用であることを示した。
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Research Products
(1 results)