2000 Fiscal Year Annual Research Report
高分子系複合材料の近臨界領域での溶剤溶解分離法を用いたリサイクル技術の確立
Project/Area Number |
10650714
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
矢ケ崎 隆義 工学院大学, 工学部, 助教授 (30146732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 譲 東京家政学院大学, 家政学部, 教授 (50107158)
伊藤 紀子 東京都立科学技術大学, 自然系, 助教授 (30040116)
木村 雄二 工学院大学, 工学部, 教授 (90107160)
釜谷 美則 工学院大学, 工学部, 講師 (30138135)
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Keywords | 高分子系複合材料 / 近臨界領域 / 溶剤溶解分離法 / ケミカルリサイクル / リサイクル残渣 / 減圧炭化処理 / 水溶液 / SMC |
Research Abstract |
研究申請者らは、高分子系複合材料の大部分を占めているFRP、特に熱硬化性樹脂を母材とするFRPを対象にして、大きな熱エネルギーを付与することによる熱分解処理をするのではなく、環境保全・省資源の立場から、近臨界条件下でマイルドな溶剤溶解により高分子成分だけを分解・溶出し、高分子成分、強化繊維、添加物とを分離回収するケミカルリサイクル技術の確立に向け、平成10年度より3年間を費やし研究を遂行してきた。その結果、平成10年度では特定の有機溶剤による分離回収の最適条件を見出し、平成11年度では10年度の結果を踏まえ、溶解速度の加速による分解効率の向上を目指す前処理工程(紫外線照射、オゾン水浸漬による低分子量化)の組み込みを実施した。また、平成12年度では更によりマイルドな溶液として水による溶解をも試み90%を超える高分子成分の回収に至った。併せ、得られた成果を実際的な工業技術とするために、リサイクルシステムの設計に必要な追実験を行い、この結果を基にした具体的なシステムの提案を現在まとめている。 また、本申請研究の遂行により、新たな研究課題が生じた。すなわち、1)リサイクル残渣の処理に関わる問題、2)ケミカルリサイクル処理工程で生ずる有害物質の問題、とであり、より有効且つ安全性、信頼性を有したシステムとするために取り組まねばならない課題と考えている。1)は溶剤溶解分離・回収後に強化繊維及び添加物とともに残る僅かな残渣物の処理に関わる問題である。これについては、平成11年度より「有機系廃棄物の減圧炭化処理」と題し、リサイクル残渣を炭化物に変えようとの試みを展開している。さらに、2)は溶剤溶解分解工程で生ずる種々の有害物質の処理に関わる問題である。これについては、平成12年度より「有害物質の超臨界領域下での分解処理」と題し、リサイクル工程で発生する有害物質を無害化する試みを開始している。いずれにしても、本申請研究は所期の計画を達成し、その研究は更に環境保全に関わる多方面に発展している。
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