1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650726
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 俊一 東北大学, 素材工学研究所, 助教授 (30162431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 浩幸 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (50250824)
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Keywords | レーザークーリング / セシウム原子 / 回折格子 / 半導体レーザー |
Research Abstract |
レーザークーリングは、原子ビームの持つ運動量を光の吸収放出過程によって減少させる方法で、結果的に速度ゼロの原子集団を得ることができる。これまで主として、原子の光トラッピングのための予備的冷却方法に用いられてきている。しかしながら、本方法は原子ビームの運動制御という観点から見ると、特定の光波長に共鳴する原子集団を空間的に制御できることを意味しており、新しい不純物分離法として極めて興味深い現象である。 本研究は、この原子制御法に注目し、新しい素材制製法のひとつとして、レーザークーリングに基づく不純物除去方法の原理的検証を行うものである。具体的には光との相互作用が強いアルカリ金属に対してレーザークーリングを適用し、試料中に含まれている不純物がどのように、どの程度除去されるのかを明らかにしようとするものである。 本年度はセシウム原子ビームに対してレーザークーリングを試みた。そのために必要な原子ビーム発生装置やレーザー光源を準備した。レーザー光源には半導体レーザーを用い、回折格子によって波長を精密に制御できるようにした。冷却サイクルから漏れ出た原子を再びサイクルに戻すための光源も準備した。レーザー波長を制御することによって、クーリングされた原子ビームの速度分布の測定を行い、掃引周波数およびその周波数幅に応じた原子のクーリングが生じていることが観測された。レーザー周波数の掃引速度およびクーリング距離と冷却温度との関係を議論した。
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