1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650733
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森 克巳 九州大学, 工学研究科, 教授 (80037754)
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Keywords | クロム / ステンレス製錬 / 酸化クロム / 溶鉄 / 還元速度 / 炭素還元 / スラグ |
Research Abstract |
ステンレス鋼製造時のフェロクロム量の削減を目的に転炉でのクロム鉱石の還元が利用され、一方、ステンレス鋼の脱炭末期にはスラグからのクロム回収がなされるが、これらは基本的には同じ還元反応である。本研究では、クロムの還元効率の向上を目的にクロム酸化物の還元挙動に及ぼす酸化物の形態や還元剤の影響を調べ、還元機構について検討した。 その結果、溶鉄中の炭素によるCr_2O_3の還元反応は酸化物の形態に著しく依存しており、試薬のCr_2O_3粉末では還元は比較的速いが、クロム鉱石の還元は1/100以下に低下することが分かった。しかし、スラグ中に溶解することでCr_2O_3の還元速度は増加した。一方、溶鉄にSiを添加した場合、粉末では還元速度は低下したが、スラグおよび鉱石の還元速度は促進された。とくに、鉱石の場合、還元の進行とともに生成された鉱石がSiO_2と反応し、スラグ化することで初期還元速度が著しく増加することが分かった。 そこで、鉱石の軟化を促進するために媒溶材としてシリカ、硼砂、CaO-SiO_2スラグを添加した結果、初期の反応速度が著しく増加したが、反応後期には鉱石粒の周りにMgO・Al_2O_3スピネルが生成し、還元速度が急檄に低下した。 還元速度に及ぼす温度の影響は還元剤の種類(CまたはSi)によらず、200-300kJ・mol^<-1>と大きく、反応速度は界面化学反応あるいは鉱石中のCr_2O_3の拡散で支配されていると考えられた。
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