1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650735
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河原 正泰 熊本大学, 工学部, 教授 (60145282)
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Keywords | 製鋼ダスト / 湿式処理 / 硫酸浸出 / 塩酸浸出 / アンモニア浸出 / ジンクフェライト |
Research Abstract |
製鋼ダストの完全湿式処理法を開発するため、塩酸、硫酸およびアンモニア性アルカリ水溶液に製鋼ダストを投入し、浸出実験を行った。浸出液は所定時間ごとにサンプリングし、溶液中の亜鉛、鉄、鉛を定量し、各々の元素の浸出率を求めた。硫酸浸出では、亜鉛は短時間で80%以上浸出され、このときの鉄の浸出率は約20%であった。鉄の浸出率は浸出時間の増加とともに増加したが、鉛の浸出率は低いままであった。硫酸浸出において鉛の浸出率が低いのは、鉛が硫酸鉛になるためである。塩酸浸出では、鉛の浸出率はほぼ100%となった。また、硫酸浸出の場合と同様、亜鉛は短時間で80%以上浸出され、鉄の浸出率は浸出時間の増加とともに増加した。硫酸浸出と塩酸浸出における鉛の浸出挙動の違いは、硫酸鉛と塩化鉛の溶解度の違いによるものである。製鋼ダストをアンモニア浸出すると、鉄はまったく浸出されなかった。また、酸浸出と比較して、亜鉛の浸出率は低くなった。いずれの浸出においても、亜鉛品位の高いダストほど鉄の浸出率に対する亜鉛の浸出率は高くなった。これは、亜鉛品位の高いダストの方がジンクフェライトに対する粗酸化亜鉛の割合が高いためと思われる。浸出液に亜硫酸ガスを吹き込む実験では、硫酸浸出では浸出率の向上にかなりの効果が見られたが、アンモニア浸出では効果は見られなかった。この結果から、アンモニア性アルカリ水溶液中では、亜硫酸ガスはジンクフェライトの還元剤として作用しないことが分かった。これらの結果から、酸およびアンモニア浸出における製鋼ダストの浸出特性が明らかとなり、製鋼ダストの完全湿式処理法の指針が得られた。
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