1998 Fiscal Year Annual Research Report
EPMAスペクトルの測定と分子軌道計算による製銑製鋼スラグの構造と反応性の検討
Project/Area Number |
10650736
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
森下 政夫 姫路工業大学, 工学部, 講師 (60244696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香山 滉一郎 姫路工業大学, 工学部, 教授 (60047595)
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Keywords | スラグ / SiO_2-CaO / 分子軌道法 / ディスクリートアニオン / EPMA / SiK_βスペクトル / 濃度 / 状態密度 |
Research Abstract |
スラグの構造と性質に関する研究は素材工学上最も重要な分野の1つである。しかしながら、高温液体状態に由来する実験の困難さから、構造と物性、構造と塩基度との間には、不明な問題が数多く残されている。本申請研究も、スラグの構造と化学的特性との関係を解明するための1つの試みであり、金属酸化物の含有に伴うSiK_βおよびOK_αX線発光スペクトルを分子軌道法によって解釈し、スペクトルの形状変化の原因をSiイオンおよび酸素イオンの局所的電子状態の変化として捉え、化学的反応性すなわち塩基度を理解することを目的としている。 本年度、申請者らは、SiO_2-CaO 2成分系スラグのEPMAで測定したX線発光スペクトルを分子軌道法によってシミュレーションするために、CaO濃度の概念を取り入れる方法を新たに考案した。まず,Ca^<2+>が配位するディスクリートアニオンSiO_4Ca^4、Si_2O_7Ca^4、Si_3O_9Ca^4、Si_3O_1aCa^6、Si_4O_<12>Ca^6 Si_6O_<15>Ca^5、Si_8O_<20>Ca^7、Si_9O_<21>Ca^5のそれぞれについて、各分子軌道の部分状態密度、Q_<3P>を求めた.ついで,このQ_<3P>と分子動力学研究で得られた所定のCaO濃度における各ディスクリートアニオンの存在比率、miとの積Q_<3P>m_iにガウス関数を適用して総和をとり,CaO濃度を取り入れた状態密度曲線を計算した。その結果、CaO濃度を取り入れたSi_3P成分の状態密度計算結果は、62.4ml%SiO_2-37.6mol%CaOおよび43.3mol%SiO_2-56.7mol%CaOスラグのSiK_βX線発光スペクトルと一致することがわかった。さらに、これらSiK_βX線発光スペクトルの主ピークは低い重合度の、サブピークは高い重合度のディスクリートアニオンに帰属することを解明し、塩基度の解釈に結びつけることにも成功した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Morishita,K.Koyama,T.Kikko,M.Morinaga and H.Adachi: "A Method of Incorporating the Composition into the OK_α X-ray Emission Spectrum of the Glassy State SiO_2-Na_2O Binary Slag by the DV-X α Molecular Orbital Calculation." DV・Xα研究協会会報. 11,No.1. 157-159 (1998)
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[Publications] 森下政夫、香山滉一郎、亀甲忠義、森永正彦、足立裕彦: "分子軌道法によるSiO_2-CaOスラグのSi K_βX線発光スペクトルのシミュレーションに金属酸化物の濃度を取り入れる方法" 第30回溶融塩化学討論会講演要旨集. 30. 73-74 (1998)