1998 Fiscal Year Annual Research Report
速度論に基づく気液液系充てん蒸留塔のダイナミックシミュレータの開発
Project/Area Number |
10650739
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小菅 人志 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70170256)
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Keywords | 蒸留 / 気液液素 / 物質移動 / シミュレーション / 回分式 |
Research Abstract |
本研究は、熱および物質移動速度に考慮した気液液系充填蒸留塔のダイナミックシミュレータの開発を目的とするものである。これを行うにあたり、定常状態における熱・物質移動速度に関する相関式を得る必要がある。そこで、初めに、規則充填物を充填した蒸留塔を用いてエタノール-ベンゼン-水系の全還流蒸留実験を1液相領域と2液相領域で行い、定常状態下における各成分の物質移動速度の測定を行った。その結果、1液相で得られたデータは、同一規則充填物を用いて気液系3成分系蒸留で得られた物質移動速度の相関式に良好に一致することを実験的に示した。また、2液相で得られたデータは前述の相関式とバラツキは大きいがおおむね一致したすることがわかった。この妥当性を検討するため、液側物質移動抵抗を考慮した充填塔に対する気液液系蒸留のシミュレーションプログラムを開発し、本シミュレーションプログラムによる濃度および還流液流量の推算結果が実測値と良好に一致することを示した。この結果については、現在投稿中である。 一方、本研究では、スチルに原料を仕込み、全還流操作後、塔頂から沸点の低い成分から順に抜き出す方式の回分蒸留塔を試作することになっている。しかし、その後の検討により、塔の数カ所に液貯留槽を配置すると、効率のよい成分分離が期待できることがわかった。このような回分蒸留塔をマルチベセル型回分蒸留塔と呼ぶが、現在、マルチベセル型の蒸留塔の設計を、上述の物質移動速度の測定と並行して行っている。実験は、各貯留槽の貯留速度を変えることで非定常操作の条件を変える予定である。また、これに対応する基礎式の導出と、それを解くためのプログラミングを次年度に行う予定である。
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