1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650754
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
森 康維 同志社大学, 工学部, 教授 (60127149)
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Keywords | 無機ゲル / 粘土 / スメグタイト / 超微粒子 / 金コロイド / 固定化 / 膜 |
Research Abstract |
多くの機能性材料は微粒子や超微粒子から作られ,また微粒子が分散して始めてその機能を発現することが多い。しかし凝集力が著しく強いため,超微粒子の分散・安定化手法の検討が模索されている。本研究では,高度に分散させると,触媒,非線形光学材料,あるいは表面増強ラマン散乱による分析に応用できると期待されている金超微粒子を取り上げ,金コロイドの固定化手法の開発を検討し,本年度は次のような成果を得た。 (1) 無機ゲルを作る粘土として合成スメクタイトを取り上げ,金微粒子はアセトンジカルボン酸による塩化金酸の還元反応で得た。反応温度を60℃とした。 (2) 合成スメクタイト粒子が分散した水溶液中でも,非共存下の場合と同様に、塩化金酸は還元され、最終的に赤紫色の分散体が得られた。スメクタイト非共存下で見られる金コロイド凝集体による700nm波長付近の光の吸収がスメクタイト共存下では現れず、波長530nmの金コロイド特有のプラズモン吸収ピークが鋭くなり,単分散性が向上していることを示した。 (3) スメクタイト共存下での金コロイドの生成速度は、非共存下に比べて全般的に遅く、スメクタイト濃度の増加に伴い、生成速度も遅くなった。また生成した金コロイドは、非存在下では不安定であったが、共存下では非常に安定なものが得られた。 (4) スメクタイト共存下の金コロイドは次第にゲル化する。このゲルを乾燥させて膜にし,X線回折装置で金粒子の大きさと,ゲル構造を測定した。乾燥方法の違いによって微細構造は異なることが明らかになり、また金コロイドの結晶子の大きさは約40nmであることが分かった。これらのことから、スメクタイトは金コロイドを簡便に固定化する媒体として優れており、酵素を固定化する担体や光学デバイスとしての利用が期待できることが分かった。
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