1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650760
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 正和 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60158417)
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Keywords | 不斉認識 / 分子認識 / 光学分割 / 分子インプリント / アミノ酸 / ペプチド / 膜分離 / 透過選択性 |
Research Abstract |
平成10年度はこれまでに得られた知見に基づき、不斉認識部位形成候補基として疎水性側鎖あるいは疎水性置換基(疎水性保護基)をもつアミノ酸であるフェニルアラニンならびにグルタミン酸誘導体より構成されるトリペプチドを採用することにした。その場合でもトリペプチドとして、その配列を考慮すると、8種類のトリペプチド誘導体が考えられる。そこで、標的物質としてアセチルトリプトファンを(Ac-Trp)採用し、実際の実験操作をMacroModelを用いてシミュレーションすることにより、不斉認識部位形成候補基の選択を行った。その結果、L-体とD-体との認識において、L-体を約17.6kJ mol^<-1>安定に認識することが予想される、H-Glu(OBzl)-Phe-Phe-CH_2-(EFF)誘導体を固相法により調製することに決定した。得られたEFF誘導体に、本報告者が1994年より新たに提案している簡易分子インプリント法を適用することにより、EFF誘導体をAc-L-Trp認識部位へと変換した。簡易分子インプリント法を適用することにより不斉認識部位に変換されたEFF誘導体の不斉認識能の評価はラセミ化合物の競争吸着実験ならびに吸着等温線の作成により行った。形成された不斉認識部位は鋳型分子と同様な絶対配置をもつL-体のみを基質特異的に認識し、その親和定数が9.6×10^3mol^<-1>dm^3であることを明らかにした。さらに、電位差を膜透過の駆動力とする電気透析法を適用することにより、吸着選択性を反映するような分離膜による光学分割が可能なことをも明らかにした。
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