Research Abstract |
本研究は,ゾルゲル法により多孔性セラミック膜を作製し,溶媒純成分の逆浸透透過特性を明らかにすること,および,混合物の分離を行うことを目的とする。これまでに,シリカジルコニアコロイドを用いて,1〜100nmの細孔径を有する多孔性セラミック膜を作製し,種々の純溶媒の透過機構について検討を加えた。その結果,細孔中の透過機構は,細孔径の大きな場合はHagen-Poiseui11e式に従う粘性支配であるが,細孔径が小さくなるにつれて,膜細孔径と溶媒分子径による立体障害効果(サイズ効果)および膜表面と溶媒分子の親和性が透過機構に寄与することを実験的に明らかとした。また,細孔壁からの相互作用によって溶媒分子は大きなポテンシャルをうけるため,壁近傍の溶媒分子の粘度が高く,壁から遠ざかるにつれて粘度が低下し,無限遠ではバルク液体の粘度に一致するとする,透過モデルを提案した。細孔壁と溶媒分子間はLennard-Jonesタイプの相互作用を有すると考え,膜細孔を円筒状細孔と仮定し,純溶媒の透過のモデル化を行った結果,透過流束の溶媒種依存性・温度依存性・細孔径依存性をよく表せることを明らかとした。 さらに,溶媒混合物の逆浸透分離に関しては,エタノール中の種々の分子量物質(現在では飽和炭化水素,ヘキサン(C_6H_<14>,分子量86),デカン(C_<10>H_<22>,分子量142),テトラデカン(C_<14>H_<30>,分子量198))を溶質とする逆浸透分離の検討を行った。細孔径1nm程度から分離性を発現し,3MPa,60℃における阻止率がそれぞれ0.42,0.65,0.85であり,無機多孔性膜によって有機溶媒の逆浸透分離が可能であることが明らかとなった。
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