1999 Fiscal Year Annual Research Report
コロイド包括ゲル化反応を利用した難処理懸濁質の新規除去プロセスに関する研究
Project/Area Number |
10650765
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
岩田 政司 鈴鹿工業高等専門学校, 工業化学科, 助教授 (10151747)
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Keywords | アルギン酸 / ゲル / コロイド / 難濾過性 / 泥水シールド工法 / 圧搾分離 / 圧密係数 / イオン交換 |
Research Abstract |
天然高分子であるアルギン酸ナトリウムとカルシウムイオンのゲル化反応を利用し,コロイド粒子をゲル内に包括させ懸濁系から除去する新規な難処理懸濁質分離プロセスについて検討を加えた。本年度はアルギン酸液滴へのカルシウムイオンの取り込み速度を中心に調査し,以下の結果を得た。 1.アルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液に滴下し,球状ゲルを生成させた。種々の直径,種々の網目密度の球状ゲルを調製し,ゲル周囲のカルシウムイオン濃度の経時変化を測定した。アルギン酸液滴へのカルシウムイオンの取り込み速度は,放物型の拡散方程式で記述することができた。従って,ゲル化に要する時間は,液滴の直径の二乗に比例する。迅速なゲル化のためには,アルギン酸液滴の直径をできるだけ小さくする必要があることが明らかとなった。 2.コロイド粒子としてナトリウム型ベントナイトを用い,これとアルギン酸ナトリウム水溶液の混合液を塩化カルシウム水溶液に滴下し,コロイド包括ゲルを調製した。ゲル中にベントナイト粒子が包括されている場合,ナトリウムベントナイトの層間にあるナトリウムイオンがカルシウムイオンと交換されるが,このベントナイト単位質量あたりのイオン交換容量は未包括のベントナイト粒子の値と同じであり,ゲル中のベントナイトは全てカルシウム型に変わっていることが明らかとなった。 3.ナトリウムベントナイトとカルシウムベントナイトの圧搾脱水速度では,カルシウムベントナイトの方が格段に圧搾速度が大きかった。ベントナイト包括アルギン酸ゲルの圧搾速度は,カルシウムベントナイトの圧搾速度とベントナイト未包括のアルギン酸カルシウムゲルの中間に位置し,ゲル中のアルギン酸の割合が小さいほどカルシウムベントナイトの値に近づく傾向を示した。アルギン酸の組成が増えるとともに圧搾速度が低下するのは,アルギン酸の保水性によるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)